スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

ウィンストン  チャーチル  ヒットラーから、世界を救った男  2018年

フランスの最もイギリスに近い海岸ダンケルクの戦いでは、多くのイギリス軍が逗留し、守っていたが、ナチスドイツの空爆を受けてどんどん、死んでいった。何とかイギリスにドイツが侵略せぬようにとの願いも虚しく、イギリスは、追い詰められていた。

 

これは、チャーチル首相の人間性を描いた映画である。

 

優勢に立ったドイツは和平講和を結ぼうと言って、手を差し伸べるが、イタリアのムッソリーニの仲介と聞いて、チャーチル以下イギリス人たちは恐れる。

ヒットラーの直下の弟子のムッソリーニは何を考えているのかわかったものではない。

チャーチルは、国民の代表として、悩みに悩み続けていた。彼は疲れ切っていた。

首相として、戦況について、国民に説明をするための演説がラジオ放送で行われた時である。

 

悩みに包まれた彼の言葉は、まるで正反対であった。

戦局は上々であり、我らの友フランスもとても良く善戦している、としゃべった。これはほぼ正反対の嘘でもあった。

西ヨーロッパの国々が、次々と北欧ノルウェーまでもドイツにsurrenderしてしまった状況の中、孤立を深めるイギリスであった。

その放送は、チャーチルの「妄想と妄執」の作った産物として、国民にまで苦笑の的となったのだった。

 

国民の生命を犠牲にしてでも、戦うのか、それとも、あの世界を惑わす嘘つきと講和条約をむすぶのか。

 

チャーチルは、国王と話したりしたが、中々良い方法はみつからない。内閣を作る際には、チェンバレンなど、反対派をわざと数人入れて、シャッフルしておいた。その甲斐あって、罷免されずに済んだのだった。

街に出て、初めて地下鉄に乗り、国民の民意を直に汲む行動に出た首相。イギリス国民のプライドと、長い歴史を考えてみた時、例え、何を犠牲にしてでも,自分の血の中に顔を埋めてでも、最後まで戦い抜くことを決意しているイギリス国民がそこにはいた。never  surrender! それがイギリス国民の民意であった。

何とプライドの高い国であろうか。

 

チャーチルは、目が覚めたように、熱を込めて演説をはじめる。下院も上院も、高揚して、賛成の意を示し、手を振って応えた。ー

ナチスへの軽蔑、自分達の歴史ある宮殿や、街に、鉤十字「 卍」の旗がはためくおぞましさ。コレには誰も我慢できない、ということであった。

チャーチルは海軍総督に言った。。ただちに国中の船舶を、小さな漁船までも、ダンケルクへ向かわせよ。コレには、ドイツ軍も驚きタジタジとなる。さすが、海運王国であった。

また、ゴムなどでできた戦車や大砲をずらりと海岸に並べて、敵を驚かせたりもするアイデアの面白い首相であった。

涙もろく、口も普段はモグモグして、吃りがちの彼であったが、いざ口火を切ってみれば、皆の心を打つような演説が鋭くくりだされた。

国民から愛された首相、チャーチルの無口で、無邪気な、人間性は、なぜだか、人の心をうつものがある。

そういう意味でいまだ、人気もあり、有名な首相である。

 

 私は、彼の苦境が、自分のことのように感じ、涙が流れ出した。特に「妄想と妄執の人間」と言われることが何度かあり、誰にも真実を信じてもらえない時、人はどうすればよいのであろうか。自分のことのように、恨みを晴らした気がして、涙が止まらなかった。

国民を守るがための妄想であり、このような気持ちを理解できる人は内閣の全ての人々ではなかった。

それくらい感動した映画だった。

誰にだって人に理解できない悩みはあるものだ。チャーチルは、国政の事での悩みなので、デッカいぞー。

 

映画では、

よく太ったチャーチルの姿に似るように、メイキャップは念入りに施され、あのようなでっぷり体型に仕上げたそうだ。