スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

過去の家 不思議な隠者のいえ。

過去に見た家が何故か時々出てくる。藁葺きの一軒家、そこは町から少し離れた端っこの方にあって、誰が住んでいるのかちょっとわからないという家だった。多分、聞くところによりと、お勤めの娘さんと母親が1人の2人暮らしと聞いた。それがどうした?何故か人の気配はなく老婆が家から出てくるのを見たのは2回ほどあったか無かったか。私の祖母は働き者で朝から忙しく草取りや畑、洗濯などに忙しく出たり入ったりしていた。なので、老人といえどもじっとしておらず動き回っているのが普通であった。だがその家の周りに人の気配はなく、いつもシーンとしていてそこだけが、なぜか戦前の時間に覆われているようで不思議な佇まいだった。食料品は娘が買ってくるのだろうか。

なぜ老婆は殆ど家の外に出てこないのか。愛の呪文のためか。愛の呪文をこの藁葺きの家に、そして家の周りじゅうに張り巡らしたのであろうか。

私は、あそこの家は何なの、あそこのお婆さんは何しているの?と、祖母に尋ねたのだった。答は、忘れてしまったが、「あそこの家はなあ、…」そこで言葉が途切れた祖母であったー誰も詳しく語らない謎の家という事で一件落着。と無理やり思い込もうとしたのだった。

今であれば、多分、いろいろとと聞き出していた事だろうと思うが、私も本の子供であって4,5才という子供ですでに、というかいつの間にか、その家は無くなってしまい、その跡地は色々なガラクタがつまれている。工作機械とか、トタンとかそういう物が乱雑に置かれているのである。残念である。

いまだに時々思い出すので、きっと魔女のような、隠者のような人が住んんでいたのでは、とそして不思議な雰囲気を醸しだす家を形作り、

50年以上経っても、私達のささくれだった心の慰めにそっと立ち現れるという不思議を叶えるために、存在していたとしかおもえない。彼らは、ひょっこりとやってきた魔女であり、あの場所で、不思議な生活を送り、実は町の哀れな私らに、愛と希望と生きる意味とを教えてくれたとても重大な出来事だったのである。

いわゆる

聖者と言われる類の人々は、どの時代にも、やはり存在しており、そっと世間の喧騒なる生活を垣間見ていたのであろう。よくよく観察していたと言っても良いかもしれない。

しかも未来において、私が不幸になることも見越しての家であったのだと思うと、その方々に感謝しても感謝し足りないのである。

そうしておいて、彼らは知らぬ間に町から去っていったのである。やはりそこの老女が亡くなったということであろうか。

私はその家の前で、何度も駆けっこをして遊んだのだが。そして古い乳母車を押して子育てごっこもした。

乳母車に本物の赤ちゃんがいればいいのにとつくづく思ったものだったが、ある日、何故か本物の赤ちゃんが入っていたことがあり、乳母車はどんどん坂道を下るという怖すぎる事件が起こった。それは私の誤った記憶かもしれないが。子供達は大声を出し合い、乳母車を止めたのであった。それ以来、人形とかで皆が我慢したのだった。坂道の傍に咲く草の形さえ、どんな草が生えていたかまで、なぜか覚えているお馬鹿な私。