スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

ゲッツ  (ゲッツ フォン ベツリヒンゲン)ゲーテ作  1774年

ゲーテ初期の作品として知られているーもう一つはウェルテルの悩みという出世作もあるが。これははウェルテルの後に書かれたものである

ゲッツは正義感と、勇気に溢れる血気盛んな城主である。ドイツでは長きに渡り、農民らは搾取され続けた。ゲッツは庶民から慕われる城主であり、働きは猛烈で闘わせれば、勝てるものはおらず勇敢な武将であった。それ故手を怪我をしており、そこには硬い鉄の義手が入れてあったのだったー勇猛で実のある彼は敵には畏れられていた。

弱い者の味方であったゲッツは、陛下の下で働く官位を持った人々から、煙たがられるようになる。

遂には、騙されてように、部下を失い、兵を失い、領地を失い、城も囲まれてしまう。

彼の味方は情けないことに、金のない農民や、ジプシーや小さな店の主人などばかりであったが、皆がこぞってゲッツのことが好きで、彼のためなら命も全て捧げると誓うほどであった。

ゲッツは騎士のようなまっすぐな気質の男であったが、周囲の者達は、企みを逞しくして、ゲッツの領地を奪おうとするのだった。ゲッツも自分に味方する兵達と共に戦うが、他勢に無勢で負けてしまう。牢獄に囚われた彼に、裁判の裁きがあり、無実のゲッツは有罪となり陛下より死刑に処すとの文書が示された。

今まで陛下を頼り陛下をただただ敬愛してきたゲッツにとってはただ偽りと屈辱の裁きであった。観念して男らしく騎士らしく城主らしく判決に従おうとするのだった。中間層の僧侶などは甘い汁を吸うためにゲッツを落とし入れたということだ。アーデルハイトというびっくりするくらいの美人の女性が出てくるが、この女はこの事件の首謀者の1人であり、女の恐ろしい武器で男を骨抜きにしていく。女性の理想像とは何かという点でもゲーテはみせかけだけの女性を軽蔑している点がうれしい。美しいだけの女性に時々辛辣な皮肉を投げかけるゲーテである。

陛下も亡くなり、愛弟子も亡くなり、裏切った敵の大将も亡くなり、ただゲッツは忠実な妻と共にいた。ゲッツは人生を顧みて人々と交わした厚い情に偽りはなかったということを思い出し感謝しつつあの世へ旅立ったのである。この世の悪は自分が死んでも無くならないだろう。ずる賢い奴等が徒党を組んで自分らの利益を求めて不正を行うことであろう。だが、今私の魂は自由になり誰にも汚されることなく飛ぶことが出来る。

 

荒削りの作品ではあるが、ひとの誠実さと勇気とを大切にした作品である。今ではもはや失われ死語にもなっているような言葉が、熱く語られる。

 

私は「エグモント」の方を推している。作品としてはより洗練され、土臭さは昇華されて完成されていている。そのため分かりやすい悲劇となっていると思う。ベートーベン作曲の「エグモント」という曲も悲壮感が直に伝わってくるようなものである。ゲーテのエグモントの舞台のために作曲された美しく悲劇的な旋律に驚くだろう。

ベートーベンにしては珍しく??。本当に素晴らしい舞台の曲であるから。