上記のものを読む予定。
井伏鱒二は山椒魚、黒い雨などの作品で有名だ。荻窪に56年以上暮らしながら、誰も井伏だと知らずにいたという話をテレビの映像で話していた。これは、これで驚きの事実であろう。
黒い雨では、ずいぶんショックを受けたと語っていた。書いているのは、ほとんど医者が喋っていることを、その惨事を書くしかなかった、と語った。
国語の教科書にも載っている彼の写真のまま、無造作な丸顔のおっさんである。
彼はこの町で暮らし、この町を愛し、隅々まで観察していたことだろう。
知られずにいたことは、彼にとってはある意味幸せなことだったのではないだろうか。
文壇の重鎮の彼であっても、さらに重要なのは自由を愛する人間であったと言うことであろう。
この本を、しんみりと読み、わたしは孤独な自分に架空の新しい洋服や柔らかい帽子を与えてやるのだ。
鞆の津(とものつ)というのは広島にある場所らしい。