戦争体験が多いね。明治後半生まれの彼だもの色々な世間の移り変わりを見て来た。
それにしても、同業者からも、あまり妬まれたりせずに、無事に生き抜いた彼だった。
(はなにあらしのたとえもあるぞ、さよならだけがジンセイだ。)
コレが鱒二先生の言葉だったなんて、誰も教えてくれんかった。美しく咲いた花ほど早く散るのだろうか、含蓄多い言葉だね。日本人ならすぐに桜の花を思い浮かべるだろう。
この厄除けは、井伏自身のために作った本であるらしい。ただほのぼのとした味わいで、我々の厄除けにもなるやも知れぬ。イワシの頭も、である。
この人は押し付けがましさが無いのがよい。
あの疑い深い太宰が親交を結んだ相手だ。
表現力は、もうこうなったらどうでも良いのだろう。
身近な生活や人物、また戦争への皮肉もこっそり盛られている。
好きに読めばよい。
宿でアンマを頼んで井伏はその間メーテルリンクの青い鳥を朗読していたそうだ。
そのとき、アンマの見えぬ眼から涙が流れていたとかいてあった。本当かよ。
メーテルリンク 素敵。