京都のお寺で、説法をしている自然居士という僧がいた。まだ若い僧であった。
そこへ、女の子が綺麗な着物を持ってやってきて、両親の供養をしてくれという。
この子は孤児であった。供養の着物を買うために、人買いに身を売った子供であった。
人買いが、子供を船に乗せるために、さらおうとするが、僧は、子供は渡さないと言って、拒否し続けた。綺麗な着物も、人買いに渡した。
人買いはおこって乱暴をしようと、刀を突きつけて、僧を殺そうとしたが、僧は、ガンと拒んで動じなない。僧を殺したとなると、いろいろ面倒である。ついに、押し問答をしたが、
どうしても子供を渡さぬので、僧は自分の命も投げ出す様子であった。
じゃあ、子供は返してやるよ、と、言って、「その代わり、舞を踊って見せろ」と言った。
舞が上手だったら、子供は返すよと。
烏帽子を被らされて舞をして見せる自然居士。
上手である。おもしろがって、もっと踊れと言って、愚弄する人買商人たち。
今度は、鼓を持たされてテンテン叩きながら、舞ってみよという命令。
これでは猿回しの猿である。
これも面白く上手に踊って見せる。これは人買いたちも、ぐうねも出ないほどの、真剣で上手な舞であったのだ。
ついに、商人たちは、子供を譲り渡したのだった。
自然居士の強い信仰心と行いは立派なものだった。自然居士と子供は再び都の土を踏んだのだった。
能楽 観阿弥・世阿弥 名作集 宝生流・観世流 『通小町』 宝生 九郎/『自然居士』 梅若 六郎(玄祥) [DVD]
- 作者: 梅若六郎宝生九郎(十七代目)
- 出版社/メーカー: NHKエンタープライズ
- 発売日: 2013/09/27
- メディア: DVD
- この商品を含むブログを見る