ところは、イタリアに、怠惰に日々を送る、中年になりそうな男がいた。
仕事はアパート経営で、古いアパートを何個か持っていた。
女たらし、酒、喫煙、と毎日、女を探して夜の街へ出ては、ナンパをしていた。
ある女と出会って、恋に落ちる。一目惚れの激しい恋。だが彼女は刑事でキツイ性格だ。
アパートの住人たちは、借金、いじめ、ボロいアパートの老朽化に、困っていたが、家主の彼は無視していた。
この役立たずの男が、天使になるという話。
実は山の崖に落ちた女を救ったのはこの男だったが、女は知らないのだった。自分の命を捧げてでも、女を助けてほしいと神に祈った結果であった。
天使に恋して、はおかしな題名で、「天使の恋」とでもすべきである。
男の方が恋にめがくらんでいるのだが、天使という使命があって、なかなかキスもできずにいた。
さらに、天の万軍だの、神に選ばれた天使であることの、と口走る彼を、女は変人扱いして去って行く。
この世の欲望を持ってはいけない立場であった。そして、人の魂を救うというノルマが課されていた。
神様も色々細工をするのだった。不思議な力を持つようになった男は、少年や、ホームレスや、
友人を次々に助けていく。
だが何故か、中途半端でもあった。
人を助けるばかりで、自分のことでは何の得もないし、、恋も成就出来ないという損な天使になどなりたくない。もう一度人間に戻って、思いっきり、彼女と幸せになりたいと思う男であった。
最後は良いことをしたご褒美に、彼女と、相思相愛になれたというお話。
だが、天使として、シビアに、彼女や人間の欲望から切り離されて、天に登って行くという設定にして欲しかった。そうすれば、真実味や実感が出てよいし、美しく切ない天使のお話としてよい作品になったと思うけどね。