スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

ハチ公物語 1987年

f:id:dekochanya:20160309174205j:imageちょっとちょっと、これは犬の話でしょ。監督は、本当に犬を飼ったり、好きだったりするのかな。すごい疑問が起こってしまうほど、犬が語られていないお話なんですよ。

大学教授の仲代達矢の慰みで、大自然を擁する秋田からやってきた子犬は、小さなマッチ箱のような都会の家に来る。大型の日本犬になるこの犬を都会のど真ん中で飼うのは思慮のある人にはできないことだと思うのだが。
いつもきちんと着物絵を着ている八千草薫が犬の世話なんかするはずもない不自然さ。まあ女中や書生がいるからいいのだが。仲代達矢は毎日渋谷駅に迎えに来るハチを可愛がるのだが、犬が着けているハーネスが、異様に目立って、その頃は、縄でつないでいるぐらいが普通の時代に、あのハーネスは、舶来品だろうか。日本の秋田犬には似合っていない。駅で降りたご主人様は、いちいち腰を低くかがめて、ハーネスを手に取らねば、動かないハチを見ていると、人間に忠実な犬というより犬に忠実に仕える人間を描いているわけで、見苦しさがハンパなしといったところだ。
何事も名犬ラッシーのようにはいかないのだろう。ハチにしても同じような犬が何匹も準備してあったとおもうが。
犬との日常的な関わりが全くないので、なぜ可愛いのかも伝わってこない。
ご主人は大学で倒れて、あっけなく亡くなってしまう。それから妻の八千草は、実家にさっさと帰ってしまう。旦那のことが嫌いだったのだろう。もうどうでもええわ。
ハチは植木屋に貰われていくが、この植木屋も死んでしまい、その妻も出て行ってしまい、ご主人を二度も失いとうとう「野良犬」になってしまった。どうも東京の女は、主人が死ぬとコロリと実家にかえるたちらしい。
駅前の焼き鳥屋の屋台の夫婦が、そんなハチのことを心配していた。行けばやさしい山城新伍がいて残り物などもらえるのだが。山城はまいにち駅に来るハチを見ておりハチのことをよく知っているのだった。山城の演技がしみじみとしていて唯一救いになっている。
それ以後ハチは東京の街を主に渋谷だろうがうろうろするようになる。餌を求めてほっつき歩く毎日。野犬とも闘ってゆかねばならなかったし、人間でもひどいことをする者もいたことだろう。
傷つきながらもやはり毎日渋谷駅に現れてご主人を待つハチであった。そのことが話題になり新聞社が写真入りでハチの事をのせたのだった。それは日本全国に知られることとなる。
ただハチのあの立派なハーネスはボロボロになり、いつの間にか切れて無くなっていた。
放浪の野良犬のツライ生活が偲ばれる。
だんだん戦争が始まってきて、兵隊さんが街道を行進し始めた。戦争が近づいていた。
そんな昭和10年の3月8日についに力尽きたハチは犬の流行病で亡くなった。
このように一介の犬の命日まで記録されているということは珍しくまれである。
もともと秋田犬は、従順でかつ勇敢など長所があり、かのヘレンケラーも秋田犬を欲しがったとある。
いかに人間に忠実で、素直な犬かがわかる。
さいごは天国に行った教授が、ハチを迎えにやってくる。美しく咲き誇る桜並木の中で、出会い抱き会う。

 

<あの頃映画> ハチ公物語 [DVD]

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