どうってことのない作品。イタリアのシテール島は、なーんも無い島である。
住民らは、高台に住んでいたが、不便に感じて、下の土地に移り住んだ。上の大地にはヤギなどが飼ってあったのだろう。
主人公の男は、革命に身を投じ、40年近く逃亡していた。そして島に帰ってきたのだが、年とった妻は白髪になって、夫の帰りを待っていた。死刑の裁判にも3回以上夫の代わりに出廷してきた。
折しも、演劇界のある監督が、舞台の主役を探していた。波止場でラベンダーの花を売っていた老人が、劇にぴったりだと思ったのだった。これは劇中劇だ。
どこまでが本当のことなのか、わかりづらい。 老人は、実は監督の父親であるらしい。年老いた母親のことが気がかりだった。
母親は、妻として、一人留守を守り、子供達を育ててきたのだが、夫がただ帰ってきてくれたことに、満足であった。
ただ一緒に、残りの時間を共に過ごすことだけが喜びになっていた。
警察はまだ夫を追っていた。どこまでも執念深い。
だが、老人は、すでに、気を逸していて、呆けていたので、無罪放免になり、国籍が無いので、海の船着場に放たれたのだった。
その後、雪が降り、天候は荒れた。朝、気がつくと、老人とその妻は、海のはしけから、厚い板に乗ったまま遠い海へと流されて行ってしまう。
夫婦の熱い涙が、冷たい海に滲む。
主人公の老人がめっちゃカッチョいい。 女性も、老婆ながら、しっかりとした身体能力が垣間見える。二人とも名の知れた重厚な舞台俳優だと見て取れる。
「旅芸人の記録」とか独特の美しい作品がある中、不思議な話の「アレキサンダー大王」が、おすすめであろう。
同じような場所でのロケである。