ノーベル賞に輝いた作家の夫、その陰で文学的才能を捧げた妻のゴーストライター。
賞を貰ったのは夫だが、その本を書いてきたのは事実上妻だった。
夫婦関係も40年も経てば、夫も耄碌、妻も老婆の組合せだ。
この映画、見ていてもキミが悪い。老醜は、晴天の霹靂のように急にふと襲ってくるものだ。自分ではどうしようもなく、
話す言葉、その身振りなどが老人のようになっていくのだ。そうなっってしまった自分に自分が驚くようになる。そうして受け入れる。
何がいけなかったのか、この夫婦の場合は夫の女癖が悪いことにあった。浮気につぐ浮気、夫は、妻の才能に嫉妬していて結果浮気をしていたらしい。妻は自分の書いた小説を夫に与える。これでは共犯ではありませんか。
特別な夫婦、そして、特別な意味を投げかけるノーベル賞。でも、本来本を書いてきた妻に与えられるべき賞であったというのは、ちょっとおかしいよ。
だが、この映画、やっぱ気分が悪く、健康にも悪い気がするよ。
それは、このストーリーに沿った主人公らの人物作り、演技等が全く放任され、ズサンな指揮のもとで作られたものだからだ。ノーベル賞で、観客を引っ張っておいて、後はどうでも勝手になれと作られた作品だから、見る者の気分を落ち込ませる最悪の結果となった。
またあの髭面の夫もノーベル賞になぜあんな髭だらけで、汚い服でやって来たのか信じられぬ。
お髭をおそりしましょうか、と誰も言わなかったのか。
グレンクローズの授賞式の日の洋服も、友人とお食事ぐらいの地味さで、信じられない。
日本人の妻であってももう少し立派ですよ。
主演のグレン・クローズはずっとメリル・ストリープかと思って見ていた。メリルも年取ったなあと。
最後の表示で、やっと気がついた。肩肉のついた短髪のグレン・クローズはいかつくて、とっつきにくい女になっていた。肩や背中の肉がもっちりと盛り上がり美しさからは遠い役柄。
「離婚がしたい」と夫に食い下がるホテルの部屋、もちろんストックホルムのホテルである。
とにかくこの女、何もかもが夫が気に食わないのである。あの夫俳優、私も気に食いませんです。
喧嘩をしている最中にこの夫が心臓麻痺で急にひっくり返った。そして救急車を呼んだが手遅れで死んでしまうのだ。あんなに憎んでいた夫が突然死んでしまうのは、見ている者も、妻も唖然としてしまう。
これで「死人に口無し」のストーリーに突入しました。
こんな話があるものか、馬鹿らしい。そういえば最初からなんか居心地の悪い映画だと思ったよ。
ストックホルムのホテルに電話がかかってくるんだよ、娘から赤ちゃんが生まれたんだ。それを2人とも初めて聞くような顔をして驚いていた。予定日なんて大抵決まっているのだから、授賞式に出ている間に生まれるかもしれないと言う事は既にわかったことではなかったのか。この辺の筋書きもおかしいなと思った。鶴瓶の家族に乾杯くらいおかしな筋書きだった。
辛い夜を迎えたスッポコも自業自得ですな。