ゲーテ24歳の時の作品。若いゲーテが執筆した戯曲で愛や恋の感情が大きく波打つように表される。若さもあって少々性急なところもあるし、この文学の才能豊かな宮仕の男はゲーテ自身と皆しても良いような男である。実際に女とのゴタゴタがあったゲーテには自分のことを書いたようなものであったろう。
クラヴィーゴという若い男は貧しいが才能豊かで、文筆で認められて国の役人にまでなってゆく。
そうなる前には、あるフランスの家族の後押しがあって本など出版して、それが王室の目に留まって宮廷に引き揚げられる.そして友人らはもっともっと精進するべきだと言ってクラヴィーゴをそそのかす。.一方出版を後押しした金持ちの家の娘マリーという清楚な少女と恋仲になり結婚の契りを結んだ。
しかしある日突然マリーの元に帰らなくなり、まったく会えなくなる。ひどい恋人、今や許婚者のクラヴィーゴは後味も悪かったが、出世欲に負けてマリーを捨てたのであった。マリーは彼をずっと待ち侘びる日々が続いている。
そんな妹をかわいそうに思って兄のボーマルシェはクラヴィーゴをやっつけてマリーの仇を取ろうと躍起になる.マリーは胸を痛めるほど彼を思い続け結婚を約束したことを思い出し苦しんでいた。
これは実際のボーマルシェ事件というような実際にあった事件が下敷きになっていて、女を裏切り野望に走った男と、マリーという女と、その兄の話なのである.ボーマルシェは卑劣な手段を講じてマリーの兄を陥れて罪人にまでしようとする。クラヴィーゴのやった裏切り行為は、どうにもいやらしく一人の女を死にまで至らしめてしまった罪人の所業であった。が、兄のボーマルシェの憤りも常軌を逸するほど強烈な怒りであり、この強すぎる怒りがマリーを死の淵へと早々と追いやってゆくという皮肉。
兄ボーマルシェがここまで怒り狂うことも極端で危なっかしいし、主人公クラヴィーゴは、いつも優柔不断であるのに、友人に唆されてボーマルシェを罪人として王室に訴えるなどやり口が悪どい。マリーとの事もハッキリとはしないで未練がありゴタゴタは大きくなるばかり。
寝た子を起こすことになったこの事件で、さらに傷を大きくしたマリーは心身ともに疲れ果てついに息を引き取る。マリーたちはフランス人となっている.場所はスペインである.という事はクラヴィーゴはスペイン人なのであろうか。
驚いた周囲のものたちも次々と戦いまみえ、ついにクラヴィーゴは刺されてマリーの棺の上に倒れる。
一体誰が悪いのか、一応マリーの兄のボーマルシェが血気盛んすぎてやりすぎに見えるのだが。
それは何とも悲しい結果になってしまった。死んでいった者たちは呼んでも、もう帰って来ない。
この戯曲はすぐさま舞台で演じられ人気をはくしたらしい。だが未だ成熟していないゲーテの若い時の作品であり、どこか物足りなさがあるものの、ウブすぎる令嬢の熱愛は、こんなにも悲劇になるものなのだろうか。しかしそういう時代でもあっただろう。宮支えのゲーテにとっては辛抱ならぬこともあっただろう。
彼らしからぬ冷静さを逸した作品なのではないだろうか。
クラヴィーゴというバレーの舞台があり、フランスの誇るオペラ座のバレー団が演じる何やら妖艶な舞台だという。
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