世界の優秀レストラントップテンに入ったグランメゾンであったが、「あいつ、また、ヘマやりやがったな」
という初老の男がいた。
かつての尾花の最初の師匠という男が現れる。お前の店で、食ってやると言う。
師匠を招いて、本日のコースを出す尾花たち。
だが、師匠は、どれもこれも気に入らないと言って怒って帰ってしまう。
何が気に食わなかったのか誰も分からず、当惑するメゾンの人たち。
「星なんかにこだわっているから、お前はいいものが作れないんだ!」と一喝される。
尾花は、倫子を連れて、師匠の店に食べに行った。小さなどこにでもあるありふれた内装の店であった。「味は大体そうぞうできる。昭和レトロの洋食店よね。」そう言ってビーフシチューを食べてみると、とても美味しい。隅々まで行き届いた味の一品であった。
そう、この隅々まで味の行き届く味
というのは、かなり上段の店であろう。なかなかめぐりあえないかも。小さい店の方がお客の顔が直に見えて味が決めやすいのかもしれない。
つまりプロの構えのひとつであろう。
私はこんな店を一軒だけ知っている。あまりお客も来ないが旨い店。関西系のひとがやっているのだが。
まあ、本格的な出汁もとったことのないスッポコのいうことではないが、たびたび感心してしまう店である。
グランメゾンは、この師匠の小さい店を見習って、よりきめ細かくお客に寄り添った皿を出すことにした。
トップテン入りしたグランメゾンに、雑誌のインタヴューが、数件入ってきた。
三つ星を狙うことについて、どのような戦略を考えているのか、と聞かれる倫子。
「特別に何ということはない。ただ、お客様のために、おいしいフランス料理をだしてゆきたい。
喜んで食べていただきたいと思うばかりだ。」と、答える。
三つ星を得ることより、もっと大切なことがあると悟った倫子の言葉であった。

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