スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

ヒューマニズムとしての狂気   岩井 寛  著

コレはNHKブックだそうですが、この著者の本を読むのは初めて、名前も初めて知りました。

かなり、濃厚に書かれていました。その熱意は素晴らしいものです。がしかし患者本人にしてみれば、少し迷惑な話でもあります。人間の心というのは不思議なものでしょうー地獄にもなれば天国にもなる。命を賭けて苦から逃れようとした人々はおおくいるーたとえそれが失敗したとしても、そこには何か重大な未だ知られていない何かがあり、真実というものは、大抵、平凡な日常の下に隠されていて、人々はそれを見まいとして歯を食いしばり、横を向くものである。

 

この本には、彼の患者であった変わった人々がのっています。彼らの数奇な運命や、それによって捻じ曲げられた観念は正常な人々から見れば、軽蔑の為のいい笑い草になるのでしょう。

皆自分より低いものを蔑まなくては、生きてゆけないのです。それは常に、ストレスを抱えて生きているからでしょう。

 

著者は、誰よりも心を砕いて患者と向き合っているのがわかる。リラックスの方法も気が利いている。15年間も「押し込み」で暮らしていた男性も、彼には心を開いてくれた。それには、やはりちょっとしたコツがあるようだ。また、真摯な気持ちで相手の言葉に耳を傾けるのも大切なようだ。

ヒューマニズムを基本としてというのはやはりとても大切なことである。素人さんのように、なんでもかんでも病気としてかたずけると、いつまで経っても患者は立ち直れないだろう。心の整理をして、自分の生きる道筋を見つけるまではそっと寄り添ってやらなければならないだろう。

信じられないような境遇の人々、そのためにひどい心の病を煩わざるを得なくなった人々。

彼の心の裏の苦しみを見た時誰でもハッと同情せざるを得ないものだ。