スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

桐野夏生

桐野の本はいちどもよんでいないが、本の帯だけでもほぼ想像できちゃう忌まわしさー彼女の冷たい横顔が思い出される。彼女はどんなコンセプトを持って小説を書き進めているのか、じぶんでわかっているのだろうかともおもう。その辺りのことはプロの彼女に抜かりはなかろうが。

ただのサスペンスですよねーよくテレビなどでもやってる暇つぶしのためのリフレッシュのためのドラマのように。 だが、今度インドラという本を読んでみることを決めて、それも自分の興味本位でのことだがそれにしても品位が汚されそうな気がして嫌な予感がする。予感といえば、私はよく予感を感じたりしていた時期もあったが、現在は予感どころではなく黒魔術の研究に勤しむ日々である。黒魔術の研究をしていると結局は自分に跳ね返ってくるらしい。

それはさておき、話は飛ぶが、モーセ十戒といういうものがあり、そこには人間としてしてはならない決まりのような事が記されていたのだ。

それを守るも守らないも人間さまの勝手だろうが、ナンジ盗むなかれとか、殺すなかれとか、リンジンを羨むなかれとか、隣人に対して偽証するなとか、いろいろ書いてある。これはモーセが神託を受けてということらしい。質素で荒削りな言葉が並んでいるが、これらの言葉を信じていいのかどうか迷っている私。つまりは、これらの言葉は 現在、現在、現在知る限りでは、ほぼ有力者ほど守っていない訳である。騙したり掠め取ったり偽証したりありとあらゆる黒い息を弱者にはきかける。獲物と見たなら直ぐに標本として己の箱に入れてしまわねばきがすまないのだろうか。

     桐野の各本の題名や、帯に書かれたコメントを読むとなぜだか、そういう事を連想させられるというか、社会的にさげすまされて、堕ちてゆく人間のことを否応なく知るのがこわいのである。だが、そこにはブラック社会が主人公のように堂々と描かれどす黒さを描くにも桐野にはそれ相当の確信があってのことではないか。なぜ汚れたものを書くのかは、彼女自身の好みなのだろうが、事実起こっている犯罪等をみても彼女の考えはそんなに大きく間違ってはいないと思う。一度手を染めれば、次々と罪を犯してゆく人間たちは加速的にそういう力が働いていつの間にか重大な破滅に至るのかもしれない。

そうはいっても、心理的にきつい推理の過程を通って桐野の描いた主人公らの事実に迫ってゆくことはやはりそれなりの覚悟がいる事であろう。

まず、桐野という名字と夏樹ではなく夏生という名前がトリッキーすぎて、その時点で波乱を含んでいるのである。