スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

切なる要望にもとづいて生まれた協会; 指兜が神様となるにいたったこと     神様の話縁リルケ作

二つの小さな小さな物語だよ。3人の画家が、知らぬ間に作っていた芸術協会である。本当の意味の芸術を志す3人の芸術家。

厳しい視線で、世俗を寄せ付けないものであった。3人はつまらぬ事で仲違いしたが、やはり神の身元で絵を必死に描き続けているとのことだ。

「切なる」という趣旨は、彼らがめざす芸術は世俗に降らず世俗を寄せ付けずに、芸術のために結成されたものであった。ただ時代が経つにつれて、どんどん悪い方へと降って行き、人間の心の支えにもならぬくだらないものが増えてきたということか。ともすると、堕落しそうになる人間を、地球に繋ぎ止めてくれる強い力になっているのが彼らの芸術なのであろう。

 

(指兜)

子供たちの間で、神様を持とうと言うことになり、それぞれ大事にしていた宝物を野原に持ち寄った。ボタンだの、メモ用紙だの、小石だの、ペン先や、消ゴム 糸屑など、いろいろなものが集まった。みんな大人の真似っこをしているのだった。

自分達にも神様というものが欲しい。これが神様だといえば、神に告知しておけば、その物は神になれるのです。なれたのです。

この中で、小さな女の子がもっているよく光った指兜がいいということになり、これが、ついには、神様になりました。

次の日からさあ大変、毎日毎日、女の子は、指かぶとの神様を、仲間にせがまれて見せることとなりました。神様を見せて、見せてと。

ある日、女の子はどこに落としたのか、神様をなくしてしまいました。泣きそうになってずっと野原中を探しました。

辺りはずっと暗くなってもうすぐ夜が来ようとしていました。

その時、スッと柔らかく大きな手が女の子の手を握りました。ああ、よかった、女の子はすっかり安心しました。