神様のの右手と左手が、お互いに勝手な振る舞いをして、お互いに、喧嘩してたんじゃ。
神は地球に色々なものを作るのに忙しく働いておられたさなかのこと。
神は、止めようとしたが、まず右手が神の言うことを聞かずに勝手に腕から離れて(ちぎれて)、どこかに行ってしまった。手首からはたくさんの血が滴って地上は真っ赤に染まる程であった。出血多量と不安とで、慌てた神は勢い死ぬのではと思われた。それほど稀有な出来事であった。
左手はちぎれた右手を見て恐れ慄き気絶寸前であったが、血潮で真っ赤に染まった大地は恐ろしいものだった。左手は、真紅のマントを纏った右手が山を登ってくるのを目撃した。恐ろしい景色であった。
血で真っ赤に染まった一枚の布。左手はガンガンと神の腕から離れようとし始めた。
慌てる神、両手は全く制御不能に。
左手はそれでも、一際若々しく美しい右手に、聖霊よ!と告げたとか告げなかったとか。
こんなことがあって以来、神はいまだに両手に不安を抱えて生きていらっしゃる。
特に右手にはまだ確かなお許しを垂れてはおられない。
こんな不思議な話は、手というものにとても敏感であったリルケのスピリチュアルなはなしであった。