住んでいる近くに滝があって、不動滝というらしい 。その昔、行者が集まって修行した岩のゴツゴツした山の中だ。少し行くと博物館があり、ある日たまたま古い仏像の展示会があった。新婚さんだった夫と博物館にいった。夫はいつもこの退屈な博物館に連れて行くので私は困っていた。帰りにごはんもおごってもくれずよく分からんものを見て歩くのは、苦行だった。その日は、不動明王の国宝のような古い木像があり、ほかにもたくさんボロボロの仏さんがかざってあった。今にも崩れそうなそのお体たち。
そのなかにある仏像の前にじっとして動かないおばさんがひとりいた。とにかく 動かない。
ぐるぐると巡る人たちのなかにあって不動のおばさんは静かに気功のような呼吸をして佇むのだった。
変なので、顔を見に近寄ったその時!見たのは不動明王そのものの、お顔だった。
これはやばい!感のいいでこちゃんは直ちにその場を離れ、夫にそのことを伝えた。女の不動明王の出現にこころはちょっと動転していた。なぜ生きた人間のおんなに不動明様が宿ったのか。 その辺りは修行者のいた山があり色々関係者もいるのかもしれんね。
夫は答えてくれなかった。あまりに不思議な出来事であった。それから30年なにごともなくすぎたのだが
ここにその女の方にそっくりな写真をのせておきます。