裏路地を歩いていると、リルケはふと墓掘りの男に出くわすー彼は当たり前シャベルを持ち陰気な薄ら笑いをしていたが、お互いに何故か話が通じ合う。陰気な墓地には病葉(ワクラバ)が、散り、より陰気で陰惨な気持ちにさせるのであった。リルケは恐る恐る、神について喋る。男は耳を傾けた。
リルケは、神について、なぜか、とてもよく知っていて、驚くばかりの人なのである。だから、神様の話などを書く気になったのかもしれないな。
昔は、人々は祈りの時は両腕を広げ、胸を大きく広やかに開く格好を取って祈ったという。
現在では両手を合わせて指を組み祈るようになった。そして腕を広げる祈りのポーズは野蛮で良くないと、神父らが主張した。その為、キリストの磔のポーズは両腕を広げたものとなり、此れを不吉 苦痛 死を意味するとしたのである、と。
それに付けてゴシック様式のとんがった屋根ヤネの様子が、まるで、天に向かって鋭い槍を向けているように、神は感じたのである。この尖塔のいっぱいある景色を嫌って神は雲の奥の国にお隠れになった。
神が真黒い雲の中に出て行った時、懐かしい香りがしたーそれは土の匂いであった。木々は、地中深く根を張りお互いを支え合っておった。木々は腕を大きく開き祈りのポーズをしていた。
それを聞いて墓掘は、オイラが土を彫っていれば、神の何かに出会うかもしれねえな。
え?そんな。
死というもの。一軒の家があり、一組の男女が愛し合って生きていた。
男はに右の門を作り、女は左に門を作り、門を開いて毎日いろいろな品物が運ばれて来るのを喜び、何一つ過不足ない生活を営む2人であった。ふたりは幸せの中に漂っていた ああ幸せに。
ある日、どうも不気味な人物が2人を訪ねてやってきた。その正体は「死」であった。
2人は家に引きこもり、門に大きな重い關(關)をかけて、暮らすようになった。外出もままならぬ二人であった。その後2人は死についてのその正体について話すこともなかった。物資も無くなって、あるもので何とか食いつなぐ有様。
夜はより長くなり、寝付かれない日々が続くことに。ある静かな夜、足をひこずるような音がした後、門が壊される音が始まったのだった。ドンドン、ガンガン、家の石の門や壁を破壊する音であった。
壊す音、死は、この家に入ろうとしていたのだった。
この恐怖の話に、相槌をうつ墓掘人夫であった。「まあ、世の中はだいたいそんなもんよ。」
続きがあるんだー死は女に黒い一粒の種をわたしました。
女は黙ってその種を庭に植えました。 女と男は、その種ばかり心をよせてしまい、他の所は荒れ放題になってしまいました。
ある日、黒い光沢のある芽が出て、真黒い葉が付き大きくなってゆきました。 男と女は互いに寄り添って、その植物を眺めました。
おお、美しい真黒い光沢。その中に、花の蕾が そしてそれは青い花でした。
二人はその花のその花の香りを嗅ごうと、鼻を近づけました。
それ以来 世界はすっかり変わってしまったのです。で、終わりです。マルテ中にも出てくる エヴァルトという足萎えの男〜ほとんど寝たきりの生活なのです。この男にこのお話を、プレゼントするといいのにと、願うスッポコでした。 バイチャ!