1630年から1714年まで生きた益軒は、江戸時代の本草学者、いわゆる漢方の医者であった。
その時代は、中国から伝わった本草学の本を読みこなして医者になるのが普通であり、朝鮮人参を始めいろいろな漢方の草や木を調合して、病人に飲ましていた。
中国さまさまである。
彼も猛勉強の末、独自に研究を重ねていったものと見られる。
もともと病弱で長生きはできまいと言われていた子供であったため。
だが彼は養生を通して他の人より長生きし、85歳まで長生きしたのだ。
彼のやり方には、真実味があるが、現代では不潔だとかいってみすごされているものが多いだろう。
わての子供たちも、嫌がってしないから。特に、自分の唾を湯水に溶いて焼塩も少々混ぜて目に塗ると眼病を防ぐという。この方法を現代人は嫌がるのだった。
早い話が唾液を目につけとけば良いのだ。猫が唾で顔を洗うようにだ!猫の目のように夜でもぴかりと光るように。
唾液に、大きな治療的要素が含まれており、眼病を防ぐことは本当であるのにと残念だ。
動物は傷口など舐めて傷を直している。強い殺菌力や免疫力があるのだろう。
わても山で鎌で指を切ったが、舐めているうちに傷は閉じた。ヨモギも使ったようにも思う。
あとは季節的なものだが、夏至や 冬至などの天体と季節の巡りの時には、子作りはしないとかもある。
風呂は、きわめて少なくするのがよいという。これは若い娘などにはとても無理な注文である。不潔だと言われることを極端に嫌う娘達に、真実はなかなかに遠いのだ。
年寄りをドボンドボンと風呂につけるのは命を縮めることになる。
年寄りは、集会や葬式などには出ずに、静かに、庭をそぞろ歩きして、気を遣わずに暮らすのがよい。
デイサービスだの老人クラブなどで元気自慢をする老人がいるが、見苦しいものだ。
また還暦過ぎて新しい事業などうちたてるのはよろしくないと。血圧も上がり、寿命が縮むからだろう。現代は年寄りもイケイケの時代であるが、体は意外に正直なものだ。
退職後に事業など手にかけて、どれほどの人が成功し幸せになったことか、あやしいものである。
食はもちろん小食に限る。これはすでに、この時代から言われていたのである。
何十年もの研究の結集が、人間のためにというこの本になった。
この本にはないが、いや、益軒が常々言っていた事であったが、朝鮮人参は、本来腹痛の薬である。胃痛や下痢などに効く、それを常用することは、危険であり身体を壊す、つまり腎臓にわるく糖尿病をまねく。どんな良い漢方薬でも常用は避けるのが基本であると。
これは皆さんのために、ここで言っておきたい!