スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

今日は良い天気で

今日は良い天気だが、あれほどお客を呼んだ桜も終わりに近い。

郷土のお祭りがあるのだが、ほとんど高齢者ばかりにて、重いお神輿や、山車を引く人も少なくなっている。子供の頃から親しんできた稀代の祭りである。自分たちの祭りこそ、一番すばらしいとおもうのは、なぜだろう。あの太鼓の音、横笛の響きは聴いた人たちに、忘れ去られた時を思い出させる。

泥に塗れた田植えのことや、父母の手伝いをした畑での駆けっこなどなど。土の匂いが切なくも甘く春風が吹き渡る夜。そう夜の祭りである。実は祭りは昼頃から始まるのだが、夕方にかけてだんだんと暗くなり、午後10時、11時と時を重ねて夜中となってクライマックスを迎える。真夜中を廻ってもまだ続き、御神事を終えてっやっとふける。既に午前2時だ。子供たちの親は初めから終わるまでずっと子供に付き添う。

山車の上で寝ている子供達もいる。ぐずって駄々こねる子供らもいる。長丁場にたえられないのだ。

山車の形は特別であって、何かどこにもないような山車である気がする。素朴な二階建てになっていて、綺麗な塗り物の厚みのある屋根は反り返っている。飾り物以外は全て木製の作りである。ゴロ(タイア)

も、全て円形の木製のものだ。屋台は毎度毎度 全てのパーツを解体しては組み立てるようにできている。

高さは大人2人分と半分ちょっとある。屋根にも乗って進行方向を知らせる。

街の道はどこもかしこも車出入り禁止となって、自転車も走られぬ決まりである。大きな山車は田舎の道を幅いっぱいに塞いでしまうし、動く神輿や榊は狂ったように動き、突飛な事故になる事があり、危険なのだ。

獅子と猩々がピョンピョン高く飛び跳ねるのでとても怖くて近寄れない。彼らは神の化身だとみなされているのだろう。

しかし一番の主役は数人の多分多い時は7、8人の若者らを乗せたおおきな山車である。それにしても何故こんなに大きいのか疑問もあるほどだ。ー何のために、誰のために、何を運ぶために?と色々疑問も湧いてくる。昔お城のお殿様がこれが良い、とおっしゃったのか。ほぼ家の形の山車をヨイショヨイショと何時間も引ぱるのだ。

皆がお酒に酔っているため、なんかヨレヨレになって来る。それでも目的地まで引いて行って更にそれぞれの区域にまた持ち帰り、やっとのことで終り、解散となる。役の人はまだ終われないけれど。

とまあ、大雑把に述べたけれど、

故郷を出た人々も、何故かこの祭りほど心を打つ祭りはないと、言い張る。

この地方がすごい田舎で、街に出るのにも苦労があり、学校に通ったりお勤めに出るのにも苦労が絶えないといった田舎であるゆえの不思議な落差が生んだ祈願の気持ちーその幻なのだろうか。