スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

1930年  蟻の生活  モーリス  メーテルリンク作

チルチルミチルの「青い鳥」の作者、メーテルリンクが、このような小さな蟻の話を書いた。1911年にノーベル賞もいただいた彼である。

この動機は何かと思えば、彼は、独特の感性を持った作家、詩人であり、蟻の生活を、人間と比較することに、結構大きな意義を見つけたのだろう。

青い鳥では、幾多の警鐘を鳴らしてきたメーテルリンクであったー美しく感動しながら、それらを学ぶことができるのは、彼のおかげである。

蟻は昆虫の中でも 小さな生き物(昆虫)であり、地中に家を持ち、働き者でありながら、人間からは、ほぼ無視されるか、虐待されるか、評価が低い生き物である。牧畜アリ、紡ぎアリ、農業栽培アリと、きいたこともない仕事をする蟻たちの生態に、さもありなんと、なぜか納得するのだ。

だが、人々が小さい時、足下を這う蟻の跡をつけて、巣穴までたどり着くことをした子供達はいがいと多いかもしれない。それは密かで静かなひとりぼっちの観察でもあったようだ。

ただこの本に出て来る昆虫学者らのように、本格的に研究、観察するわけでもないから、細かいことは飛ばして呼んでしまった。

ただ、巣穴の入口に、門番アリがいて、獲物を運んできた働き蟻達をいちいちチェックしていて、入ってはいけない奴がくると、ダメダメして追い払うのである.巣穴を清潔に保ち、不必要な汚物は入れてはならないからだ。蝉の死骸、黄金虫の死骸、ミミズの死骸などを上手に解体し、透明な羽だけを運ぶ蟻をよく見たものだ。羽は軽いので、たいてい体長の何倍もあるような羽を運んでゆくのだった。

こんなに苦労したんだから、何とか入城を許可してやって!と、祈るような気持ちに。それほど、必死に動く蟻たちであった。

私自身、子供の時、棒のようなものを持った門番アリを見たことがあった。さすがに棒は持っていないが、そう見えるぐらいに威厳があってがっしりしていて、誰もが、彼の言うことをきき、隊列は乱れることはなかった。厳然とした規則があるのだった。

人間の愚かさとは無縁な、真逆な蟻たちの生活は知的でさえあると明言している。見習うべき所は見習いたいが、人間は今では失うことの方が多いのではと、人間世界の崩壊,地球の終わり方を、危惧する作者であった。