ヒッチコックの「鳥」に出ていた女優さんだよ。ジェシカタンディとかいうらしい。素敵な繊細な女優さんーこの映画ではフェイという ちょっと認知症の頭のイカれた老女で出ている。でもさすがの大女優だと思わせる演技はとてもナチュラルでありのままのようなさわやかさがある。
実はこの映画は子の老女ジェシカが引っ張ってゆくのである。都市開発に圧迫されて立退を強要されている。夫役はヒューム クローニン、この人は名脇役で有名だが、「コクーン」での滑稽でどこか物悲しい爺さん役が忘れられない。お茶目なおじいさん。二人でやってきた8番街のカフェには愛着があった。地上げ屋がやってきて、この家を壊してゆく。行くところもなく彷徨う住人、カフェ老人老女の二人は狭い台所に避難して一晩すごす。
目が覚めてみると、めちゃクチャに壊されたカフェは見違えるようにリフォームされていた。一夜のうちに!
驚く二人!おばあさんのフェイは以前より病状が悪くなっているようでおかしなことを言ったり、したりするので夫は心配が増えてしまった。それは、フェイが、宇宙人の存在を知ってしまったからだった。フェイ役の老女のジェシカタンディは着実な実力で、みるものを唸らせるーこんな素敵な女優さんがいたなんてね!これこそ奇跡でしょうね。
それなのに、昔、家を出ていった息子は悪いヤクザの手先になって、悪さのかぎりを尽くす毎日であった。この家を壊したのも息子の指示もあってのことで、ひどい悪ガキになったものだ!母親のフェイは息子のことが忘れられない。このロビーという若者は、本当の子ではないのだー実の子は昔、事故で亡くなっているのだ。ただ、息子のことを彼女は忘れられないーまたふと帰ってくるのではないかと、期待してしまうのであった。この若い男を息子だと思いたいだけなのだ….ロビー、ロビー!
その日以来、このフェイはずっと精神がおかしいのである。
ある夜から宇宙人がやってきて、このアパートに住み込むようになる.なぜか分からぬがここが気にいったようだった。
彼らは立ち退きに苦しむ住人たちを助けて破壊尽くされたカフェが入ったアパートの立て直しをやってくれた。
すでに、宇宙人らと住人たちは信頼し合うフレンドであった。ヤクザ等に爆破されたこのアパートは大きく燃え上がり、
荒れていたニセ息子も瓦礫の下の母を助けて病院へー皆が必死になって小さな幸せを守ろうと立ち上がるのだった。
円盤ふうなメカはどこか古っぽくてぎこちないが、あとは人間力で補っても余りあるロマンティックなストーリーだ。私など、ストーリーがわからないところがあって(例の若者が本物の息子かどうかで)3度ほども見たが飽きなかった。スピルバーグのおかげかな。ロビー役の荒れた若者も何故か心を揺さぶる演技力。
やっぱ、ハーピーエンドが、疲れを癒してくれる。あきのよながのはじまりであった。
上記の写真は、フェイが眠っている間に宇宙円盤がそっとやってきて様子を見ているところである。