すばらしいの一言。この映画に出会ったことは何か運命の様なきさえする。スペイン語もキレがよい。少女の母親が、メキシコのギャングに連れ去られ、どうも殺されたようだ。母を待つ娘 エストレアは、1人で何日か待っていたがとうとう母を探しにアパートを出る。
ただ暑さしのぎにとホラーでも見ようかな、と思っただけだったのよ。
スペインのこと、よく知らないわたしーでもこの映画を見てスペインのこと少し分かった気になった。何か複雑な歴史がありそうですね。やっぱちょっと特異な国ではないのかしらね。というよとも、この映画の舞台はメキシコー! !でしたよ。メキシコはスペインの植民地だったので、スペイン語なのか。過去、インカマヤ文明を乗っ取り君臨したスペイン。
スペインていえば、サグラダ ファミリアとか闘牛とかフラメンコ、こんな事ではないだろう。ヨーロッパでもドイツフランスに比べ、よく知られていない面が多いと思う。マイ フェア レディでも、スペインの平原に雨が降る(rain on the plains in Spain)だが実際はー降らない。たまに降る。いや、滅多に降らないだったかも。 薄汚いバラックをねぐらにしていた少年たちの目の前に美しい虹のようなニシキゴイが水溜りに泳ぐ映像。バラックの中にいつの間にか水が入いり、とても小さな池になっていた。なぜそんな場所に鯉が?
この魚は希望とか、平安の象徴のように思えてならない。少年らの境遇とは真逆な極地であった。
エストレアと同じように、親を失って孤児になった少年らが数人で固まってすんでいた。そこに、エストレアも身を寄せたが、女は縁起が悪い、とか言われて嫌われたりで大変な目に遭う。少年らはやはり街の無法者のギャングに親を殺された子供達だった。酷い街だなあ。少年らの年齢は、5歳ぐらいから12歳までぐらいにみえた。だが、皆しっかり者ばかりであった。集団のボスの少年はイッパシの男にみえた。わたしが惚れ込みそうな頼りがいのあるカッコええ人間。できた男のリーダーだ。子供らにこんな芝居させて、よくもまあ!とさえ思える映画。彼は、願いをかけるな、と言っていたのに、つい願ってしまった。その後直ぐに撃たれて死んでしまう。やっぱ、縁起悪かった。
「オレは、苦しみをみんな受けた。今まで全ての苦しみを耐え抜いた。もう望むものはない。だから願わない。」それなのに…。
こんなことを言う小学生がおるだろうかね。ほんと、すごいよな。
さて、少女エストレアは、ふしぎなマミー(母)の声に導かれて扉を開ける。ああ、そこには眩しい緑の平原が何処までもひろがっていた。死んでも尚、マミーは娘を守った。
コレは、ホラーではない、 ザ マミー/呪われた砂漠の王女」でもない。
ある意味で、これこそ平和を訴えた映画ではないだろうか。子供を使ってはいるが、暴力が横行する中を生き抜く純粋な魂が、不思議な感動を呼ぶ。 ザ マミー(お母さん)である。五部門の賞を取った作品の訳がそこにある。小道具というのか、鯉が建物の水溜めに寄ってきて泳いでいるのが何やらとても美しい。錦鯉でも、我々は見慣れてる筈なのに何故こんなにキレイなの?