幼少期より体が弱かったーでもピアノを習わせてみると早くも天才的な音楽の才能が花開き、誰も弾かないようなバッハの曲を弾くようになる。両親は貧しくなんとかしても彼のレッスンのお金を 捻出することを考えた。
これはジョアンというピアニストで、ブラジリアンである。
彼の弾くバッハの曲は繊細で且つ力強く、美しかった。若くしてカーネギホールで演奏会。多くの人が聴きにくる。だが、練習が過ぎて、手はボロボロになり、指に矯正の金具をはめて弾くようになった。
金属が指を傷つけ、血だらけになってしまう演奏会。とうとう彼もリタイアまで追い詰められ、10年ぐらいも休憩し、人々にも忘れられていった。
ところが、彼はバッハが忘れられない。バッハは彼の命と言っても間違いないものだった。
バッハを引くために、再び立ち上がる彼。
幸福と不幸が交錯する彼の人生。それは赤いモクレンの花のように周りの空気を赤い霧で染めながら揺れる時と、葉が散るときと、二つあるようなものだ。
左手のみで弾く彼のピアノ。不幸にも事故に遭って不遇な人生に。
映画の最初の部分の混声合唱は見ものであるー持ち、彼のピアノも。