本当は行ったこともない庭だが、NHKで、紹介されていた。ひっそりとした佇まいにはとても惹かれるものがある。日の当たらぬジメジメとした暗い石の階段を登ると、雨風に晒されて色褪せた門扉がある。
瑠璃色とは大胆な表現であるが、寺の名も瑠璃光院である。大正末期から存在していてそんなに昔からあるわけではないようだ。
綺麗な水が流れ、八瀬という最寄りの駅もある。、周囲がわざとらしくも薄暗い中、澄んだ池の水の中には錦鯉が泳いでいる。それにはたいていの人がはっとするであろう庭園の手法である。大きめの紅葉も崖の様に垂れ下がり、その緑さえ瑠璃色に見える。下には瑠璃色と言われる苔が濃く生え茂っている。
何よりも大切なことは、其処がかなりにうらびれいて、誰も寄り付かぬ庭の様に見える事である。
京都にあり、観光客が来ているのは分かりきったことなのに。
来た者はそこが、自分だけの秘密の庭の様な錯覚に落ちいるいうわけだ。秘密の花園、甘い蜜、とでも言うのか。ああ、ここは自分だけが見つけた素敵な隠れ家であると。
この様な庭が存在することに、人々はホッとするのである。ギンギラギンの今の世に、何か魂の秘密を抜かれたような今の人間。じっさい今の世に、何を 誰を信じることができようか。満たされぬ気持ちのまま
ジグソーゲームの札を持って人々は彷徨っているのだから。それは自分が、ピースの一部であると言う不可解な不可避でもあり得るゲームである。
また、この庭は手入れをするにも、気を使いそうな難しい庭っだと思われる。多分だが。