突然異動事例を受けた阿部さんは、警察音楽隊のドラムを叩くことになる。事件にはもう足を突っ込んではならないと、上司からも厳しく命令されていた。彼の常軌を逸した捜査法が、法に触れ、警察の権威を揺るがすことになるのを恐れてのことであった。
其れでも、警察音楽隊は、一部の庶民からは人気であった。阿部がドラムを叩くのであれば、どんなふうかいな、とおもったが、まあ人並であった。あまり格好をつけないのが阿部流なのか。淡々とした演技、淡々としたドラム演奏。
何なんだろうね、この人。自分が俳優だという事、わかっていないとか?まさかね。
コレが最後の演奏会になる、そう言われて、皆が一致団結して演奏会に臨む。コレは上司が、音楽隊を潰そうと企んでいたが、演奏もうまく、聴衆も大変喜んでいることを知って、また同席した知事まで大喜びで楽しんでいるので、隊を潰すことができなくなった。
アルツハイマーで、時々行方不明になる阿部の母親も音楽を鑑賞して喜んだ。
異動した音楽隊で自分のポジションを得た阿部であった。