さて、やっと後半になったのかな。
主人公K、フルト弁護士、看護師レー二、そして、商人ブロックという四人が登場する。
4人だけではあるが、これらの関係は、こんがらがっており、読むのに骨が折れる。人物の切れ端のような印象しか持てず、全体像が捉えにくく描かれている。わざとかもしれないが。
商人は、訴訟のために、5年以上も費やし、今では弁護士の屋敷に住み込んでいた。昼夜を問わず、弁護士と話し合うためらしかった。レー二と出来ているのだろうか、と疑うKであった。
kが、夜遅く訪ねた時も、商人は下着姿であったからだ。
商売の方は、ほとんど店じまい状態で、訴訟のために全てを費やしている様子が窺える。
幾度かの審判もなされたのだが、全く進展がないと頭を抱えているのだった。
弁護士は、いかにものような言葉で、商人を翻弄していた。
ただ、Kは経験の深い彼から、聞き出せることはすべて聞き出して自分のためになることはないかと、必死に商人に食らいついていた。自分はまだ、もらっていないが、商人は、審査のための用紙をもらったことがあると言った。詳しく教えて欲しいとおもうK。
もともと、今夜は、もう弁護士とも、女レー二ともすっぱりと手を切ろうと並々ならぬ決意を抱いてこの屋敷に来たのであったが。
商人の忠告として、ポイントは、「決して一人で行動するべからず」「被告人皆でなにもせずに、ただじっと待っている事にも結局大きな意味がある。」などであった。
ただどのような策をこうじても、訴訟と審判に何の進歩もなく、今日まで来てしまったと言う。
商人は弁護士にやっと面会できたのだが、弁護士は横柄な態度で、「わしは裁判官にお前のことをほめておいてやったのだ。真面目で、訴訟にもこれ以上ありえないほど真剣に取り組んでいる人間であると、褒めて話しておいたのだが、あの商人ブロックはよくない人間で弁護士の君をたぶらかしてばかりいる詐欺師のような男だ」
と言われたと、話した。
ヘナヘナとその場のへたり込むブロック。
「弁護士と手を切る。」と、Kは切り出した。
するとKに対して、弁護士はこの上もない驚きの表情を見せた。「あのレー二という女中は、とにかく誰にでも、好意を持ってしまうたちでしてな。困ったものです。」と切り出した。
「私は、被告人と言うものを愛して止みません。何故なら彼等は美しい。被告であると言う立場が
一種独特の美しさを彼等に与えるからだろうか。彼等は、どこにいても、その美しさですぐに見分けがつくのです。」
このようなとんでもなことをベラベラとKに向かって話し出した。
弁護士がいかにも他人事のようにブロックやKのことを軽んじて考えているかがよくわかり、こちらは
歯軋りしたくなる。
かれらは誰も本気の人はおらず、ただ自分自身の利益や栄達を守るために奔走しているだけの人たちであるのだった。