スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

審判  最終章の巻    カフカ著

とうとうここまで来てしまった。あとわずか2ページしかない。この2ページを舐めるように必死になって読む。

教会から帰ったKは次の日自分の部屋のベッドで目が覚めたのである。

戸口の所にはすでに黒い服とシルクハットの肥えているが青白い顔の男が2人立っていた。Kはこの2人に左右の腕を持たれ家を出てどんどん歩いて行った。街の中を通ったり橋の上を渡ったりしながらとにかくどんどんと進んでいくのだ。シルクハットの男たちはKが止まれば一緒に止まりKが歩き出せば一緒に歩き出すと言う具合である。男たちは、とにかく Kのするままに動くのだった。とうとう街を過ぎて野原のような場所に出てしまった。そこも横切っていくと、閑散とした石切場が見えた。3人はそこへと向かっていった。そこに着くと男たちは Kの服を全て剥ぎ取り裸にしてしまった。哀れなK 。

で、Kは一つの石の上に頭を上向きで寝させられ強く抑えられた。Kは、二人の男たちの顔の表情を見ようとしたが、よく見えない。来ていたフロックコートの中からナイフを取り出す男。

そうこうしている間に、 Kの心臓は鋭い肉切りナイフで、二度えぐられた。アア!

 

彼は生き絶えたのだった。

 

時々人生は煮詰まる時がある。困難に思える時がある。こんな時に、この審判を読んだ。今まさにその時である。

カフカは、私の側にいてくれた。あの独特な顔。私を鎮め、「人生なんて、大したことじゃあない…。」そう言ってくれたような気がする。ちょっぴり涙ぐむ私。要するに、大いに励まされたのだ。壮絶な人生と作品を残し、彼がこの世を去ってからおよそ100年が経つが、困ったときのカフカ頼み。信頼と感謝しかない。

 

(リカちゃんへ捧ぐ。)

審判 (角川文庫クラシックス)

審判 (角川文庫クラシックス)