1969年から2010年まで実在したアレキサンダーマックイーンというデザインナーである。生まれ故郷アイルランドから単独イタリアに渡り、有名デザインナーに弟子入りする。
そこで地道に勤め上げ、世間に通用するスキルを学んだ。派手なショーをしても、お金はほぼ無かった。ポテトをかじるぐらいがやっとの生活。とにかくショーというのはお金が莫大にかかる金食い虫、災害であった。
デザイン学校に入学しもう一度基礎からやりなおして多くを身につけていった。彼のショーを見て新しい可能性を感じたジバンシー社。
ジバンシーが、彼を取った。
ジバンシー社のために彼は必死になってショーに取り組んだ。お金はジバンシー社がだしてくれた。だが、ジバンシーという名を汚さぬように気を使ううち、いつしか閉塞感が生まれていた。だが、マックイーンの名声は、既に揺るがぬものになっていた。
彼のいわゆる野性的で奇抜なデザインは美しく、非の打ち所がない。
色々なデザインナーとも知り合いになっていった。
それで、ますます良いショーができるようになり、注目度も上がる一方であった。
どんどん前へ前へと進まねばならなくなった彼のへのプレッシャーは、大きくなるばかりだった。
凝った舞台と、
より自由なファッションは出来上がっていった。
そのうち、世界のグッチが彼を呼んだ。ジバンシーに嫌気がさしていた彼は、さっさとグッチに移っていった。
それが良かったのかどうか。
その後、やはり、彼のファッションへのプレッシャーは強くなる、一方だった。
期待に応えようとするが、だんだん気持ちが、分解してしまう。最後には、モード界全体が、敵のように感じられてきた。
妄想がひどくなって、不可解な言葉を話すこともあった。
そんな中、彼の母親が亡くなった。ファッションショーの最中であった。
その後は、彼の全てが終わったのだった。
彼の美しいファッションはこうして、画像に残った。
足の先から頭のトップまで完璧であった彼のファッション、だが、完璧すぎるというのは、水を漏らさぬようで、水が漏れてくるものである。