彼は犯罪者であったのだが、当局に、その才能を見込まれて、警察の片腕となって働いた。
迷宮入りとなった事件や政治が絡んだ難しい事件も受け持つことになる。
そんな時パリでは連続殺人事件がおこり、しかも、若い娘が何十人も、行方不明のままになった。
連続殺人では、とても変わったやり方で起こったのだった。
ヴィドックが呼ばれて、調査を委ねられたが、この事件は危険この上ない猟奇的なものであった。
犯人は若い娘の皮を剥いだり、血を絞ったりして殺して行くという、残酷なやり方であった。
犯人の目的はそうやって、若いエキスとその魂をも吸うということであった。
ヴィドックはやがて犯人を追い詰めるが、ガラス工場の大きな炉の中に落ちてしまった。そこは燃え盛る炎の深い穴であった。ガラスを作る工場の施設には、大きく深い炉あって、地獄の釜のように燃えていた。そこに落とされて
それがヴィドックの最後であった。
犯人の妖怪野郎は、ガラスの仮面を被っていて、本当の顔は見えないのだった。
身のこなしが超高速で、空中を飛ぶように動く。大きな炎もすごい。これは映画初のコンピュータグラフィックスを駆使した結果であろう。
その頃のパリの裏町とかの様子が暗く、とても敗退的で、酩酊したような町として描かれているが、
それもそうだろう。
その中を走るヴィドックたち。美しいダンサーがいたが、この人の踊りはオペラ座で、鍛えられたものだろう。完璧である。音楽も暗さも、オペラ座の怪人を思いださせるところが多かったが、ヴィドック の方が先に作られている。その成功の後を追うようにオペラ座の怪人も作られたのか。
最後には、警察のお偉いさんたちが、真犯人をおいつめる。
警察本部のものたちも、渋い演技ができる俳優がやっていて中々良かった。誠実な犯罪捜査の男たち。
彼らはヴィドックを信じて犯人を追い詰めて行く。
死んだと思ったヴィドックだったが、本当は生きていたのだ!彼一人が、ガラスの仮面の下の顔を見て犯人を知っていた。
犯人は、意外にも近距離にいたのだった。
ヴィドックらは 正義と知恵の名の下に危険な事件を切り抜けたのである。
ミステリー、ホラーな映画である。