日の名残り the remains of the dayはイギリスのある貴族らしい館に仕える男の独り言のようなつぶやき。ファラディー様とかいう名前は何かきぞくをおもわせるばかりだ。イギリス各地を巡って行く旅があり、知らぬうちにイギリス通になりそうだ。ただ、地名とか、人名に無理がある。もう少し自然な名前をつけたほうが良いのにと思う。日本語題名の、日の名残りは、とても悲しすぎる題名である。
なんという座りの悪い変な題名であろうか。
わたしを離さないで never let me go は最初からとても現代的でよみやすい。だが、進むにつれて何かだるくなっていく。最後まで読んでいないので、どうなって行くのかはしらないのだが、ヘールシャムという地名は、いただけない。ヘールは地獄?ヘールシャで、ペルシャ?シャムでタイランドを思い出す。いったいどの国がいいっていうの?それにドーセットという地名もなんですの?犬の名前か何かですか?いや本当にある地名らしいが。
でもなんか、ちょっぴり同情してしまう、気の毒な若者たちの施設での暮らしである。
施設は、現代的で美しく清潔な建物で、広いのであろう。一般人はこのようなところには住めず、狭くても騒音がうるさくても我慢して暮らしているのであるから、まず羨ましいだろう。
ただ、この施設で死にたいとか言う主人公は、まるで、老人のようなことばをつぶやく。本心だろうかとうたがいたくなる。
スッポコの家は田舎なので、騒音はなく、風の音や雨の音が毎日のようにきけるのである。
このイシグロは建物の描写がとても上手だ。まるでもう、そこに住んでいるような感覚である。
しかし、彼らは子飼の人間である。臓器を何度も提供し、体を壊して死んで行く者もいるのだ。
醜く酷い人間の仕業は胸が悪くなる。素知らぬ顔で暮らす彼ら、トミーとかルースとか歌に出てきそうな軽いノリの名前であるが、彼らは多分洗脳されているのだろう。
洗脳されたり管理されると言うことが人間にとってはいかに酷い事か。イシグロはこのような境遇を知っていて書いたのか。
主人公は手術を受けて弱ったものに寄り添い、励ましたりケアする役目の人間だ。
スッポコはとっつきやすこの小説を、よむだろう。
忘れられた巨人the buried giantsは、鬼が出てくる話だが、とてもメルヘンチックで、ドンドン読めるおとぎ話のようだ。
どれも、まるで皮膚のように伸びて読む人にまとわりつき張り付く感じがユニークで新しい。いつのまにか
皮膚から染み込んで、読む人の心理にまでは入り込み同化する文章力は、如何なものか。
そういうところが評価されたのだろうか?
文章力では、村上より上手のようだが、どちらかと言うと村上春樹の枠組み、構成の方が好きだな。
ボブディランなんて、とんでもない、気がするよ。
次は、谷川俊太郎が、来るよ、と、弟が言っている。まあ、確かに。