スッポコにとっては、特別待遇の映画だ。話が草花のことであるから。きっとうんと美しい花がいっぱい出てくるんだ。今度こそ騙されないぞ、と意気込んでいる。
刑務所に入った主人公は、仲間たちと花壇を作り、花を植える話。
実話にもとづいているとあって、おどろきだ。
きっかけは美しい花を咲かせる「においすみれ」のタネを刑務所の庭の片隅に蒔いたことがきっかけになった。
春になって、そこには美しい、青紫色のスミレが咲いた。それを見た主人公は、とても喜んだ。人生の復活を感じるのだった。
監獄の所長も花を見て閃いた。この囚人たちに花を植えさせようと。早速仕事をさせてみると、
春になってとても素敵な花壇ができたのだった。良かったね。そこに偶然にも有名なイングリッシュガーデンの先生がやって来た。そこが監獄ということは知らされずにやってきてしまい、美しい庭を見る。
ここはイギリス。女王陛下も庭づくりを推進している国だった。
いろいろなコンテストもあり、ガーデンの先生の推薦もあってコンテストに出られることになった。
大臣や記者が取材にやってきた。殺人者や強盗の作る庭として取り上げられるようになった。
この刑務所は、更生保護施設のようになっていて、塀もなく鍵もなく監視も緩やかであった。
そこで、ガーデニングをすることが、記事になって有名になっていった。
なんとか賞をとって、こんな囚人人生とはおさらばしたい。皆がそう考えるようになっていった。
コンテストでは自然の草花を配した庭にすることに決め、とりわけ自然観のある庭になった。
しかし派手な見栄えのする庭の方が当然優勝するのであるからしかたのないことだった。
推薦したガーデンの先生は、これらの賞は全て嘘っぱちだと言って舌打ちする。
囚人たちの庭は素晴らしかったのに優勝から外されたと憤慨するのだった。
アカデミー賞などもこんな決まり方するんだろうなあ。忖度忖度。
さて、賞の行方は!皆が見守る中、どの賞にも入らなかったのだ。残念がる囚人たち。
しかしなぜか、女王陛下のお呼びがかかった。あの者たちの庭が素晴らしいので、宮殿で会いたい、
とのお言葉があったのだった。
喜び、作業服のままで、中へと進んで行く彼らであった。
結構長い映画であった。イギリスの花々が美しく眩しく、うまく捉えていた方だった。
草花や庭といってもひどい映画もおおいだろうから。
ガーデンに必要なセンスと科学的知識、特に科学的な知識があると、さらに良いものができることを知った映画だった。
飯よりも庭が好きと言えるぐらいのスッポコである。いろいろな草花は、心をほぐしてくれる
立派なレメディである。