この作品、グラスは1999年に、ノーベル文学賞を受けている。やっぱこういう人に賞をあげると重々しくて価値があるよね。やっぱ今の人軽いよね。
映画化もされて、おどろおどろしいというか、小さな少年が太鼓を持って歩いてるだけなんだけど、周囲のいろいろな人々が、なんか怪しいのよね。父親もクレージー。戦争で国はめちゃくちゃ。
最後の結末に感動してしまう。戦争が終わって、少年と祖母は生き延び、3歳で成長の止まった少年の身体が、急に伸び始めるんだね。
人間の不思議、そして、この物語が当然として受け入れられるものであり得るのも不思議なことである。
追記/ パフュームの、ジュースキントも、ドイツ人だが、ドイツには元々こういう不条理的な猟奇っぽい文学の土壌があったということだろうか。ま、香水の方は何が言いたかったのか不明であるが、読み物としては、ノンフィクション風でスイスイ読めるところが良いであろう。止まったり振り返ったりしながら読む思索的なものとはちがう。
名作というものは、中にいくつかヒダやスキマがあって、そこに足を置いて狭ければつま先だって、色々見回して自分と比較したりして読み進んでいけるものであろう。
この小説、様々な意味でエグくて、醜悪極まりない最悪の作品となっている。