ゲーテの第一人者の池内が、書いた軽妙なゲーテのあれこれといったところかな。
啓蒙思想時代の少年が、ウエルテルで、大ブレイクして、ひとかどの大作家になっちゃう。
彼の若い頃は、ちょっとへらへらのぼんぼんだったのにだ。
田舎町のワイマールの責任ある役人になって、いろいろ地理など調べて歩いた。
鉱山の産出が悪いのはなぜか、街の長老や坑夫とも、膝を交えて聞き込みをする熱心さ。
他の役人達は、帰ってしまったが、ゲーテは一人残って調べたらしい。その時に描いた「鉱山の入口」
というスケッチがある。
これが、とても素敵な絵であった。真面目な意味で、見る人を唸らせる。これは実際を見た人でなければ、描けない絵ではなかろうか。坑夫たちの苦労が偲ばれる絵である。
ベートーベンと会った時は、ドイツの湯治場であった。非社交的なベートーベンに少し手を焼いた様だ。何も、洒落たことを言わなくてもいいのだ。ゲーテは人のそのままを、受け入れてくれる人だからね。それでも、尚、ベートーベンは食えないやつであったらしい。
この本には色々な逸話が乗っていて、大変楽しく、教養深い感じがする。どこか、魔法の匂いのする
逸品といってもよいだろう。小難しくなくてわかりやすいのも良いことだ。
じゃあね。