レスボス島のある都の所有する牧場では羊や、山羊や、牛など飼っていた。下には海が蒼く水を湛え、丘にはブドウ小麦が波打っていた。
牧人がそれぞれ、男女の赤ん坊を拾って育てる。
彼らは大きくなって 男は山羊を、女は羊を育てて牧場に出ておった。由緒ある子供なのか、美しく育ち、お互いに知り合いになり、いつの間にか、恋が芽生えた。
その途端に、2人とも、胸の支えに、苦しみ、ご飯も喉を通らず、眠ることもままならずで段々と顔色も青ざめていった。
「クロエ」という名前は、名前の原点のようなもので、愛の魔法が込められているような気がする。
水浴びをするダフニスを見たクロエ、クロエが泉で沐浴するのを見たダフニス。
だが、コレがなんの苦しみなのか、さっぱり分からず、悶々と若い2人は苦しむばかり。
海賊が村の牛を奪って逃げて、その船にダフニスも押しこめられていたが、クロエが、牛ぶえをふくと、牛たちは、海に飛び込み、丘を目指して一目散に泳いだ。牛と一緒にダフニスは助かり、クロエは喜びでいっぱいになる。
2人は祝福されて結婚すれば良いものを、いつまでもダラダラと、若草のような恋を続けるばかりだ。
この2人がいつ幸せになったのか、語られていない、あまりにも甘酸っぱく、初々しい物語である。
この物語は、上品なので、高く評価され、音楽や、バレーとして演じられている。
「新・ちくま 文学の森」で、読んだ。