17歳の桐山零(神木)は、子供の頃、両親を交通事故で失った。その後は、知り合いの将棋士の家に引き取られみっちりと将棋を仕込まれた。
義兄弟の姉と、弟は、レイをバカにしたが、どんどん追いついて、もう誰にも負けない実力を現してきた。
育ての義理の父(豊川悦司)は零の才能を大切に育てるために全力を尽くした。最後にはこの師匠である父にも勝ち、次の上のステージに上がろうとするのだった。よそ者の零に負けた義姉は怒って、家を出てゆく。妻のある年上の将棋士の男(伊藤英明)と付き合って家に帰ってこない。せめてもの反抗であった。義姉はプロ棋士を目指していたが、零に負けた自分が許せなかった。姉は、零ばかり大切にする、父を憎み、家を出た。
この義姉の役を、有村架純が、悪ぶって演じるのが面白かった。
零は、家を出て一人暮らしで、将棋と向き合う。ただこの人高校生で学校にも通ってのこと。
島田開(佐々木蔵之介)の門徒に入って腕を磨いた。仲間や友人もいた。中でも仲の良い二階堂(染谷将太)はいつも一緒だった。
彼は聖(さとし)の青春のさとしのように病気で、太り気味だった。染谷の太ったメイキングも見どころでしょうか。大望を抱いていたが、試合中に倒れて入院してしまった。
そんな彼は、本気でレイを応援するのだった。よくないことは叱って怒鳴った。
二階堂の仇をうって勝ち、最終の対極にまで持って行く。
対極の相手は、天才の若手で、宗谷冬司(加藤亮)であった。彼は今まで全ての試合に勝ちたくさんのタイトルを手に入れていた。
多分、羽生のことだろう。
加藤は、このような特殊な役の演技がうまく、明るい灰色の着物が威圧する様に浮かんでいた。ただ静かに座っているだけなのに、何かしら殺気が立ち上ってくる様な、恐ろしさを演出できた。日本伝統の着物のおかげとも言える。日本人には、やはり着物が染み付いているのでしょう。
彼に倒された者は、しばらく呆然として立ち上がれないのだった。精神的痛手から立ち上がるのにも時間がかかった。レイの師匠の島田も、しばらくは魂の抜け殻となった。
義父が、やって来て、レイにはじめての着物を作ってくれた。
美しい山の宿が対局場であり、俗世界から離れたところにあった。
いよいよ、対局が始まった。全身全霊で戦う決意で臨む零であった。
将棋会館が何度も出てくるし、ピンクのツツジの花がまで咲いていた。息を飲む様な試合の展開で、面白く、前編、後編と続けて見てしまい、ずいぶん時間が経ってしまった。
将棋の世界の厳しさ面白さが伝わるよい作品だと思う。知ってはいたが、岩松了が、会館のマネージャーのような役で出ていて、よい味が出る役者であった。この人は本も書いてるし、インテリなんですよ!マジ。