お笑いコンビ、アンジャッシュって知らなんだ。
渡部っていうのがいて、その人の母方は、奈良県のすごい旧家だった。
家の隣が寺で、渡部の祖先が建立。梅本っていうんだ。700年前の南北朝の頃より天皇に使えていた。
700年というのはとても古いものだ。
げっ、すごすぎる。でも、もうその家はないんだ。寺は残ったのであるが。まあ、栄枯盛衰っていうか。後継のおじいさんは兄弟死んで、ひとりぼっち。東大に進みエリート街道まっしぐら。
満州鉄道の幹部になって、子供もたくさん出来た。
戦後にやっと帰国して勤めを探す。やっと勤めたら疲れがどっと出て亡くなったんだ。
満州からの引揚者は大勢死んで食うや食わずで爆弾から逃げて帰って来たのも奇跡的。
ただ残された妻と子は露頭に迷う寸前。子供らは大きくなり、帝大をでて独立してゆく。
その兄弟の一人が渡部の母親である。
父は、長崎の地で下駄問屋をしていた家の子供。造船所をいつも眺めるのが父の楽しみ。
そんな中、長崎に原爆投下で実家の店も焼ける。そのとき、幼い父は疎開先から、8キロも歩いて実家の安否を見に来た。
父の母親は賢明な人で、そういう大混乱の中でも、気をしっかりと持ち、「なんの、なんの!」と言って乗り越えていった。やはり明治生まれの人はなんか強いんだ。
父は、数学に長けていて、九州大学で電気工学を専攻し、東芝に勤め、リニアモーターカー、新幹線などのエンジニアーとして懸命に働いた。全て合理的に考える父の子が芸人になるなんて青天の霹靂であっただろう。
渡部は、グルメ本など出して、自称グルメらしい。母が、よく調理をする人で、料理は家庭の域を超えていることもあったらしい。
それで渡部もグルメになったとか。
長崎の人は、料理がすごいと思う。彼らには探究心があるんだよ。新しいものにものおじせずにトライする。
長崎出身の知人がいて、なんか食べたこともないようなうまいもんを知っていたりで、お家にお邪魔した時、ササっと、チーズケーキを作ってくれたのにはおそれいったです。美味しかったし、手際も良いよ。さすが日本の窓、玄関口であった長崎だな。
渡部の芸はさておき、すごい家系なのにそれに縛られずに活躍することは、ある意味しあわせなことだろうとおもう。結局彼の血に流れるグルメの感覚がうまい料理を呼び寄せるのかもしれない。
芸能界のグルメ王が世界に薦める! 東京 最強の100皿 (文春e-book)
- 作者: 渡部 建
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/10/30
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
渡部流 いい店の見つけ方教えます。 すべて新店 初出し80軒 (文春e-book)
- 作者: 渡部建
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/10/28
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る