天使が出てくる問題作と見た。ただメッチャ面白い。
ある貧しい靴屋がいて、あるひお金を持って街に行く用事があった。街でも商売はうまくいかず、寒いので酒を喰らってしまった。お金はもう無い。きっとおかみさんが激しく怒るだろう。そんなことを考えながらとぼとぼ帰る男。町外れの教会の横を通った時、ふと、目をやると、なんと丸裸の男が雪の上に座って震えていた。
驚いた男は彼に自分の上着をかけてやり、家に連れて帰ってしまった。
なぜなら、彼の顔を見た時、体も胸も、ポーッと火がついたように暖かくなったからであった。自分でも不思議であった。
さあ、おかみさんはかんかんに怒ってしまった。お金は酒に消えてしまうし、変な見ず知らずの男を連れて帰るし、たった一枚の冬着も若い男に着させる始末をみては、あきれて声もでないのだった。
パンを買うお金もないほど貧しいのにどうやってこれから冬を越して行くのか。そう言いながら、なけなしパンを皆で分けて、若者にもパンを分け与えたおかみさんであった。
そのとき、男がおかみさんに向かって微笑んだのだ。その微笑みを見たおかみさんは、なぜかとてもウキウキとしてしまいソワソワとして心がしあわせに満ち溢れるのをかんじたのだった。この歓びは格別なものだと思ったおかみさんは、若者を家に置くことにした。
主人が靴作りを教えると、若者は難なく覚えて、立派な靴をつくるのだった。それが評判になって、靴屋にたくさんのお客が来るようになり、店は繁盛した。
彼はなぜだかも客の死ぬ日まで予知するのだった。全く不思議なやつだ。と靴屋の主人は考えた。一体あの教会のそばで、裸でなぜ転んでいたのか、今更ながら不思議であった。
しかもあいつが来てから、急に暮し向きも楽になって来た。あいつはいったい何者なんだろう。
だがにっこりと微笑む顔を見ると、今日も何も聞けないのだった。
だが突然に正体がわかるときがきたのだった。