だからさ、ロシアの文豪トルストイよ。復活だの、アンナカレーニナだとと、善人ぶっていたのでは、いつまでたっても本当の芸術家にはなれないとおもったのか。
イワンは農夫であり木こりであり、家畜もかっていた。いつも土にまみれ肥料にまみれて暮らしていた。二人の兄達は土仕事を嫌って、それぞれ軍人と商人になって、妻をもらい、派手な生活を好んだ。そして臭い匂いのするイワンを馬鹿にしていた。
ある日小悪魔がきて、イワンをだまそうとする。イワンは知らん顔してどんどん仕事をして、悪魔ををおどろかした。どんなに悪さをしても驚かず、どんどん仕事をしていくので、あきれていた。
大魔王さまに合わす顔がなかった。
イワンは愚鈍であったのか、ただ単に働き者であった。
イワンは、王様になって、正直な農民を治めた。
戦争が起こりイワンの国にも軍隊が押し寄せてきた。強奪、殺戮が繰り返されたが、馬鹿なイワンのばかな国民は、家を焼かれたり家畜を殺されたり、家族が殺されてもただ泣きわめくばかりで、復讐したり武器を持って戦うことはないのだった。ここでも悪魔の計画は、イワンの前では意味がなくなってしまった。
またまた親分に合わす顔がなかった。
ところが、また悪魔がきて今度は金貨を配り出すのだった。
イワンの国の国民は、イワン同様バカばかりであった。だから金貨を見てもただジャラジャラと子供のおもちゃにして遊ばせるのだった。何に使うのかも知らないのだった。
カンカンに怒った悪魔は、高い演台に登り演説を始める。お前らはバカだ。これではしあわせになれない。
「頭を使って働かねばお前らは皆不幸になるばかりじゃ。」
「ワシらはバカなので、頭を使うなど出来ません。どうか頭を使って働くことを実際にして見せてくだされ」
そうして悪魔はは頭を働かし、はげしくふりまわし、とうとう高い演題から転げ落ちて死んでしまった。バカに理屈を説明できずバカ達に押し込められた悪魔であった。
「神のご加護あれ、アーメン、」誰かが、そう唱えると悪魔は二度と現れることはなかった。
イワン達は安らかに暮らすのだった。

- 作者: レフ・ニコラーエヴィッチトルストイ,金子幸彦
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悪魔はこんどは金貨を出して