灰色の頭巾をかぶらされて、目だけを出して、田舎の山道をそろそろ歩いて行くしかなかった。
なにもかにも灰色で、明るい光も差さぬように心にシャッターを閉めてきたんだ。
我らは、いかにもトボトボと進むともなく進んでいくのだ。一緒にいるのは仲間らしい。皆が同じく灰色の頭巾と、灰色のローブと。何故なのか誰も知らない。誰も語ろうとはしない。
ただ血のたぎるような熱い昔の思いが、朧げながら、わたしたちの足に力を貸しているのだった。老人たちは
年をとったのか、とってはいないのかは、もはや重要な事ではなくなり、ただ今の瞬間だけが、ありがたく思えたりする。彼らは不遇な運命を知ってはいるけれど、それでも尚、口を固く閉ざし過去に向かって(過去は友人だ)、また未来に向かっても何ほどの事もなく、ただ静かに、うつむくだけのことであった。
灰色サングラス