いつも、椿のような真っ赤な口紅を指していたお母ちゃん、よく太ってたね。色も白くて豚みたいだったね。
お母ちゃん、よく私を風呂に入れてくれたね。お母ちゃんのお腹は、おすもうさんぐらいの大きさに見えたよ。
山に登って、猪に会っちゃった。おにぎり2個、3個に握って持って行ったのだっけ。
イノシシは、おかあちゃんと私に突進してきて、お母ちゃんは刺された。私も次に刺された。
真っ赤な血が出たよ。お母ちゃんと一緒に死ぬんだ。お母ちゃんと一緒なら、それがとっても幸せだと思いながら、山の斜面の落ち葉の上に流れる血を見ていた…。