又吉原作の、期待の映画が始まった。主役は山崎賢人と松岡茉優である。監督は勝手にふるえてろで松岡を使った行定監督である。
監督は他にも面白い作品をたくさん作ってきた人だった。
演劇好きの男女2人は気があって同棲しあっていたが、山崎の自分勝手な癖のある性格のために
彼女は傷ついていくのであった。山崎は劇場の脚本を書きそれを仕事としていた。いっぱしの芸術家ぶって毎日ふらふらふらふらと街を散歩したりしてばかりの男だった。彼としてもいろいろネタを探したりして考えているのであったが、なかなかこれといった良いものが描けなかった。
生活費がなくなってきた2人は女の松岡が専門学校やめて、昼も夜もバイトするようになった。特に夜は居酒屋に勤めたためにお酒が入りだんだんとアル中のようになってきた。
いつまでも芽の出ない山崎は女に対して嫉妬ぶかくなって、少しでも男の気配があると暴れるようなことをするのだった。
こんな生活を続けていくと2人ともダメになってしまう。東京の中で孤独な2人は弱く力もなく金もなく、ただ寄り添って生きてきたのだった。こんな二人の何が悪かったのか。野心のために魂を売ったりしない山崎であった。そんな彼を理解してついていこうとする純粋な松岡。こんな二人の何が悪かったのだろう。
山崎はつかみどころのない人間失格的な文学男での役で、むずかしかっただろうか、怪演していた。
ある日才能ある若手の作家の演劇を見て内心相当なショックを受けた山崎であった。
でも、何も変わらない日々が過ぎてゆくだけ。働きすぎと酒の飲み過ぎで体が弱ってきた松岡は
思い切って故郷に帰ることにした。山崎1人を残して帰るのは辛かったが、松岡はすでに崩壊寸前で、もうどうしようもなかったのである。愛するが故に、耐えて尽くした女(古いだろうか)。人間を飲み込んでしまう大都会東京からいちど離れてみるのも良いだろう。
僕は1人でも大丈夫だよ。そう言って微笑む山崎。最後に2人で桜の花を見に出かけた。夜桜である。ひっそりと咲く桜の並木はとてもきれいだった。誰も悪くないんだ。今までもそしてこれからもずっと。
山崎健人は相変わらずニヤケのハンサムで、美形であったが、それがどうした、と思った。
松岡は、けばいメークじゃなくて、目力がなかった。貧血の女みたい。こんなフラフラしていたら
生活できないんじゃないの?やっぱ。