何度も焼き直された作品だ。ジュディー ガーランド、バーバラストライサンド、そしてガガである。
いずれも、栄光と影の悲しい悲劇である。
バーバラも迫真の演技で、面白かったが、ガガもまあまあだった。イヤ、本当はなんといえば良いのかちょっと。戸惑っている。監督兼のブラッドリー(うさんくさい名前)が、ガガのお相手を務めて副主演した。
初めは、まったくの無名だったアリーが、有名なロックスターの男に拾われて、ステージに立ってからは、うなぎ上りに、人気が出て、あっという間に、ミリオンセラーの歌手になって、グラミー賞まで取ってしまう。大きな都市にツアーを組んで行くようになった。夫はポツンと取り残される。
グラミー賞の時にも、夫と一緒に舞台に上がる予定にしていたが、ふらふらになって舞台に上がり、失禁までしてしまう。アリーたちは大恥をかく。
どんどん歌も上手くなり、美しくなり、輝きを増してゆくアリーは、もう夫の手に届かないスターにみえる。
だが、アリーの心には自分を見出して育ててくれた愛すべき夫には変わりなかった。
だが、夫は愛されている自覚などなく、全くアリーの気持ちに気がつかない。大スターのアリーとしか見えないのだった。すれ違う男と女であった。
夫はしだいに、ダメになったロックスターだという評価をされてゆく。才能があった夫の変化に、困惑するアリー。
というか、勝手に男が拗ねてしまったという感じだが、男のプライドとは兎に角ややこしく、扱いにくいものだ。
二人は愛し合い、結婚までするのだが、アリーの勢いは止まらず、男はますます落ち込んで酒浸りになって行く。既に薬中で、アル中の夫は、いつもフラフラして、道脇に寝てしまうこともあり、探すのも一苦労であった。
夫がこうなったのは自分のせいではないのか、と、思い悩むアリーは、自分の仕事と、結婚生活の板挟みになって苦しむのだった。彼のために、仕事をやめて、普通の主婦になることなど、もはやできない。彼女の周囲には、レコード会社をはじめスタッフが、たくさんとりまいていた。
アリーのマネージャーに、あんたは邪魔だからアリーからきっぱり離れてくれと言われてしまう。
アリーは、ツアーも取りやめて、夫といることを望んだが、周囲の勢いは、アリーを押し出した。
大きなツアーに出た日に夫は一人で命を絶ってしまう。
アリーはまた一人ぼっちになってしまったのだった。失ったものは大きすぎた。
この映画は、もう一度見ようと思えるストーリーがあり、、ガガの歌や踊りも入れこめてつくられている。
監督はアリーの夫の落ちこんで行く「だめ男」を自ら演じることで、頑張ったようだ。