この最後まで 暗い物語は、生まれるべくして生まれたのか。
オーソン ウェルズの原案とあるが、この暗さはそこから来ているのかもしれない。
かれはなぜか暗い感じがする人だからね。
だが、まとまりがあり、わかりやすくて、綺麗な映画である。テンポも良くて、おもしろく、ミステリー要素も入った新しい形の誕生とも言える。
平凡に暮らしていた銀行員のチャップリンは、世の中が不景気になると、リストラされてしまう。
彼には、可愛い妻と、坊やがいた。
やがて、彼はヨーロッパ中を股にかけて、結婚詐欺を働き、多数の女と重婚をして、金を巻き上げては、殺していく殺人鬼と成り下がるのだった。
家族を養うために、したことではあったのだが。
とうとう警察に怪しまれるに至り刑事が張り付いていたが、その刑事も、コロリと、殺されてしまう。
こんな極悪人を、チャップリンが演じるなんて、ちょっと辛い気になるし、気が重くなる。
美しい女優を幾人か出演させて、少しは花もあり、ホッとするのもつかの間、そんな美女にさえ、ワインに、毒を入れて新しい毒薬のテストを試みるなど、冷酷極まり無いチャップリンである。
株の大暴落で、彼は 破産して、実際の妻も子も、どうなってしまったのか。
いつも刑事に追われる生活にも、終わりが訪れる。もう逃げることもせず、監獄で、静かに最後の時を待っていた。
最後はチャップリン自身、「見るべきものはみつ」と言った晩年の心境の様に演じている。
最後は、彼は堂々といや、淡々と、処刑場へと歩いていくのであった。
あゝ辛!。