スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

カポーティ ベネットミラー監督 2005年

フィリップシーモア主演でした。もちろん、アカデミー賞主演男優賞です。

カポーティは作家として「ティファニーで朝食を」とか色々と話題作を書く作家であった。

ある静かな田舎で、一家四人が殺されるという怖い事件が起こり、村の人々は動揺する。

しかし、この事件の容疑者たちは逮捕された。

この事件に興味を持った作家カポーティは、その村へと行って見るのだった。

この事件をよく調べて、ノンフィクション作品を書こうと思い立ったのだ。

村の人々の感情の動きを掴み、村人がこの事件以来大きなパニックを背負っていることを知るのだった。

また犯人の家族、動機、性格などを調べだす。

これに四年の歳月が費やされ、監獄に入っている犯人と、面会したのも何度もであった。

本来は、重犯罪人に面会は禁じられていたが、カネとコネで会い続けた。

犯人は、みじかに話を聞く作家の真摯な姿に感銘を受け、とうとう色々と話すようになる。

家族のこと、そして殺しの時の様子も。

そうして、とうとう死刑の日も決まってしまう。

カポーティは色々手を尽くすが犯人を救うことはできなかった。

元々、救おうという気持ちばかりではなく、自分の作品を仕上げたいという強い要求が作家を突き動かしているのだった。職業上の興味であったのだ。

彼は自分の作品を仕上げることに全精力を注ぐタイプであり、完璧を期するタイプであったからだ。

興味本位の衝動を、抑えることはできないのだった。

 

本の題名は「冷血」と名付けられた。

だが、これでは犯人と作者とどちらが冷血なのか、という問題である。

 

 

 

犯人が死刑執行を見届けて欲しいというので、そのとおりにしたカポーティ

しかし、それを見たことはあまりにも辛い体験であった。

犯人はただ一人カポーティを「友人」と呼んでいた。

だからなんでも彼に話したのだ。

 

そして小説は完成した。小説は評判になり、作家の株を上げた。

死んだ「友人」 のおかげであった。 

 

その後 、カポーティは、作品を発表しなくなった。アルコールで亡くなった。まだ60歳になる前であった。

 

元々孤独であった作家カポーティ、この彼を演じたフィリップシーモアの、恐ろしいほどの集中力は、本物カポーティを超えていたといってもよいだろう。

その後、フィリップも、アルコールとドラッグで亡くなった。まだ40代であった。

 

 

冷血 (新潮文庫)

冷血 (新潮文庫)