ソ連(現ロシア)の批評家であったバフチンは 特に、ドストエフスキーについてよく研究していて面白く読める。弟が買ったばかりの本であったが横取りしてざっと読んだ。
ポリフォニーという事を示し、ラスコーリニコフの心には、自分以外のソフィー、母、妹、友人、スヴィドロガイロフ、警察署長、
などの、いろいろな声が混ざっているのである。罪罰の彼は、気絶するほど、心が動転していて、売春婦のソフィーに促されて、罪を警察で自白するのだが。
ドストエフスキーやら、トルストイやらは実生活の中の人間をまじかに表すことに長けていた。
架空のことではなく、実際のもの、できごとを、物語を使って表したのだ。
なので、まるで、人物がすぐそこで動いているように感じるのである。
ゲーテについても言及している。彼もまた現実生活を実際的に表した作家である。
読んでいるとそれがわかる箇所が多くはないがちょこちょこと垣間見える。辛辣な人物批評もたまにある。たまであるところが、またすごい。二つの小説に、一度ぐらいの頻度かと思うが。
彼らは職業作家ではあり得なかった。彼らの持つ歴史的空間的世界観、時間観念などは、およそ職業を逸していて、人間としての人間の出来うる作品を作ることができた。