深い森や、深い入江の色調が効いた北欧の映画となっている。森や川の美しい映像。シンプルな出だしに何故か、すぐに惹きつけられる映画である。
森の豊かな街に生きる奇形の人々。女は税関で働き、生活費を稼ぐ。鼻が犬のように効くので、お酒、ドラッグなどの持ち込みがすぐにわかり、彼女にしかできない仕事。人間の罪(crime)や、恥(shame)の臭いまでもわかるという。
女の顔は狼の様に見える時もある。でもこの女、姿が当たり前の肉付きと、当たり前の髪型と、コレが素晴らしく当たり前で、まるで、自分や近所のおばさんを見ている様だった。
こんな人あるあるでうれしくなるね。主人公は美しくはないが、健康な肉体と精神が中核に存在する人間。
だが、LGBTもぶっ飛ぶような肉体の変化が女にはあった。実は彼女は男の肉体を持っていた。また出会ったレーヴという男だが、見るからにたくましい肉体なのだが、内部は女であった
二人はお互い運命のように結ばれあってゆく。通常の世界からははみ出したアブレ者として生きてきた二人であった。下積みというか地下生活の様な報われない人生であった。
これからは二人で幸せをつかみとろうと希望がキラキラ湧いて来た。森の中で、妖精の様に裸で戯れる二人。
君は人間社会で上手くやっているー幸せになってくれと言って離れていったレーブ。
だが、結局警察に捕まってしまう。幼児売買の罪であった。レーブはなんと自分の産んだ子を他人に売っていたのだ。
それから海に飛び込んで、行方不明となったレーブ。
女は一人で、森の家へ帰って途方に暮れていたーそこへ大きな荷物が置いてあった。
開けてみると、なんとレーブと自分の赤ちゃんが入っていたのだ。バブー!という赤ん坊を抱き上げてあやす女。 レーブの忘形見として育ててゆくのだ。バブー!
ミステリアスなこの作品、普段のコロナストレスをぶっ飛ばす勢いがある。