時は14世紀である。田舎侍の大将(小沢栄太郎)、モロナオ は色好みで、人の妻であるカオヨに、横恋慕していた。
侍従の女(音羽信子)に、恋文をもっていかせたりしていた。
カオヨ(岸田今日子)は、出雲判官の妻で、たくさんの腰元に守られた生活をしているお姫様である。
この映画では、岸田は綺麗な女であった。目や口の大きな彼女の特徴を上手く捉え、メイキャップの人は本当に優秀であり、職人芸である。岸田はともすれば妖怪のようになってしまうのだが、この映画では、それが美しさへと変わっていた。
音羽も40そこそこで、テキパキと動きまわる。とても若くみえる。音羽は丸顔でおっとりしたイメージが強いが、動く時は動くのだ、ただナマケモノが動いた!といった感がある。
悪い奴は、田舎者のモロナオという男だ。女を奪うために、戦を仕掛け、謀反の張本人として判官の一族を潰してしまう。
妻のカオヨは、夫の後を追って死ぬ。
女を得ることができなかったモロナオは女を生け捕りにして、そばに置くつもりであったのだ。
悔しがるが、死んだ女ではどうしようもない。
新藤監督が武士や馬が、沢山走る時代劇?
ちょっとびっくりしたが、まずまずの出来であろう。熱意でなんでもやって、切り抜けたのはすごい。
小沢は憎めない大将だし、兼好法師が出てくるのだが、これは宇野重吉がやっていて、恐ろしいほどのうまさであった。教養のある坊主として、大将の館に上がり、恋文を書くのである。