スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

シッダールタ  1922年    ヘルマン ヘッセ著

彼はすでに40歳になってしまっていた。だが、あの悟りはまだ彼の元になかった。

彼はある商人の家に長く逗留した。そこである美しい娼婦と出会い、付き合うことになる。

あなたは本当に真面目すぎる。ストイックな彼を笑った女性だった。人生の喜びを知らなくて、悟りなどありませんよ、と誘惑に余念が無い。二人はしばらく交遊し、女性は何故だか、シッダールタが不思議な人間で、他の男とは違うことに気がつく。そして本気で好きになってしまう。

だがシッダールタは女に執着はなく、商人の家を出て、女性の元を去った。彼女の悲しみは深かったが、お腹に、彼の子を宿していた。女は直ちに娼婦をやめた。

シッダールタは、川のそばに住んでいた。一緒に断食に励んだ友人も一緒だった。

それからまた何年も経った。友人は、ここでは悟れないと諦めて去っていった。シッダールタは、あさから晩まで川を見つめ川と対話して暮らしていた。かれは痩せていた。

コレを書くに及んで、ヘッセは断食とか色々試して、禁欲的な生活を実際やって、小説の軸となるものを探した。そうしなければ、この難しい命題をクリアすることはできなかっただろう。

クヌルプなどが完成し、第一級の作家として認められてからは、いよいよ、より大きなシッダールタの心の問題と取り組んだのだ。そしてそれはほぼ成功したと言えるだろう。

シッダールタは、旅の途中で、聖者ゴータマと会い、話を交わしている。愛人カマーラはごーたまに帰依していた。

ゴータマの危篤の噂を聞いて、多くの人がゴータマに一目会おうとやって来る。カマーラも息子と出かけて、毒蛇ににかまれて死ぬ。悟りに近づいたシッダールタと再会し、ゴータマには会えなくとも、シッダールタに会えて感謝して死んでゆく。息子を彼にゆだねる。

息子はあまやかされ我儘な子で、彼の元を去って街へ行く。

シッダールタは、子供のための大変気を揉んで、心の苦しみを抱えた。大切な者を思う今の彼は深く迷い傷ついていた。

 

その後、色々あって、シッダールタは、ついに、悟りに到達する。

 

そんなこと言われたって、言われたって、ちょっと困るのは読者ですよーヘッセはそういう人々を描くのが超一流に上手いのだが、かれ自身が、シッダールタなりデミアン本人ではないー。

 

 

シッダールタは、全く夢のような話である。久々に読み返したが、一辺倒の感想ではむずかしい。