スッポコ谷の楊貴妃

もうすでに還暦女子。すっぽこだにで瘀血と戦ってます。ホテルの換気扇が嫌いすぎて旅行できないのが悩み。

カビリアの夜 1957年 フェデリコ フェリー二監督

娼婦として働くカビリアはちょっと子供の様なところがあって、いつも男に騙されておかねを掠め取られていた。それでも仲間と夜の仕事に励んで結構お金を貯めている。
主役はジュリエッタ  マシーナで、もち監督の奥さんであるが、小柄で、ちんちくりんで、麗しいとはお世辞にも言えぬが、キュートとでも言おうか、独特の表現力がある。
この映画では若く体力もある彼女の健康体がまぶしい。スッポコにもこんな時があったと思うが、元気だったのは小学校の時ぐらいかな。
映画の冒頭から男にお金を取られて、川に突き落とされておぼれてしまう。
弟が新しいブルーレイを買ったので、音声切換や字幕の出し方がわからず、イタリア語のままで見た。しかもカビリアか、カリビアかこんらんしてしまう。カビが出たと覚えよう。
でも大体のわけがわかったのには驚いた。役者の個性が強くシンプルなので分かりやすかった。
マシーナの表現はいちいち分かりやすく言葉は要らなかったが、こちらで勝手に「ねえねえ、コンビニにいくの?それならおにぎりか からいせんべいなんか買ってきて。でもタラコおにぎりだけは絶対にいやよ。でも開いてるかしら。あの店」などと勝手にせりふを当てはめて遊んでいた。ちなみにスッポコはタラコはきらいではないよ。
キリスト教のマリア様のお祭りがあり、娼婦のカビリア達も参加する。最初は、自分は場違いではないかとおずおずする彼女である。しかし必死にお祈りを捧げるカビリアは他の誰よりも本気で拝んでいた。なぜなら娼婦という身の上を恥じていたから。世間に、お天道様に隠れてする仕事だから。でもお祭りのお祈り後、何も変わらない仲間や自分を見て、嫌悪の塊になるのだった。お祈りには友達の松葉杖の男も来ていた。彼はすごい人混みで、体調がおかしくなるのだが、スッポコとそっくりだと思った。いつもすぐに体調がおかしくなるので、困っている。
ところでカビリアはふとしたことで、素敵な男性と出会う。そいつは、彼女に優しくして、愛している様なことを言って、結婚しようと言ってきた。うれしくて舞い上がり引越しの準備を始めるのだが、部屋の友人は、それを心配そうに見ているのだった。娼婦にこんな話って、あまりに上手い話過ぎるというわけだ。しかし
カビリアはスーツケースを持って、バスに乗って行ってしまう。
そして男と一緒に旅に出たのだが 、あちらの湖を見にいこうと人気のない森の中に連れていかれる。
童女の様な彼女は疑いも持たずに着いて行く。
湖は崖っぷちの様になっていて、突き落とされたらおしまいといった形をしていた。そこで初めて男は豹変して、彼女を湖に落とそうとするのだが、殺すのはやめてお金の入ったハンドバッグだけとって逃げてしまった。また騙されたのだったが、この度のは衝撃が大き過ぎた。
湖に落とそうとするときの男の演技も上手くいっている。
「殺してほしい。こんな人生はもうやめたい!どうか、早く殺してくれー!」と叫び続ける女にタジタジとなって逃げる男であった。しかしカビリアがこんなにも絶望していたとは誰が知ろう。
一人町に帰り、ただ目的もなくフラフラと歩くカビリア。しかしだんだんと足取りもしっかりとしてきて、最後には人生を肯定した満面の微笑みで映画は終わる。
主役のマシーナはあたりまえ脱ぎませんし、男と何の絡みもありません。娼婦というのに何にもないって夫のフェリーニの鉄壁の守りに守られているというわけですな。

カビリアの夜 完全版 [DVD]

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